2004 Fiscal Year Annual Research Report
吸収/発光時間分解スペクトルの同時測定によるホタルの生物発光反応初期過程の解明
Project/Area Number |
16540371
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
和田 直久 東洋大学, 生命科学部, 教授 (20120355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 泰彦 東洋大学, 工学部, 教授 (80134500)
小田井 圭 湘北短期大学, 情報メディア学科, 助教授 (90233551)
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Keywords | ホタルルシフェリン / 酸素添加酵素 / ケージドATP / ジオキセタノン / 生体エネルギー変換器 / 酵素反応ダイナミックス |
Research Abstract |
本研究の目的は、ホタルの生物発光反応初期過程で見出しうる短寿命中間体を検出するための実験系を開発し、"化学エネルギーの光エネルギーへの変換反応素過程"の特徴を明らかにすることである。発光反応の開始点を厳密に制御すれば、中間体を検出しうるとの観点から光刺激で活性化するケージド化合物としてCaged-ATP(CATP)にパルス光を照射して反応の開始点を制御し多量のATPを瞬時に生成して後続反応の変化を分光学的に追跡することを計画した。短寿命、低濃度の中間体を高感度で検出するには種々の実験上の工夫が必要であり、初年度は以下の問題点について検討した: (1)生物発光強度を高め、しかもCATPの光分解効率を上げるための至適pHの決定 (2)酵素ルシフェラーゼ(E)と基質ルシフェリン(Ln)の濃度比([E]/[Ln])調整による発光強度の時間依存性の最適化 (3)CATPをパルス光で光分解するときのパルス強度(J/cm^2)とパルス繰り返し数(Hz)の最適化 (4)CATPの光分解生成物の生物発光反応に対する阻害作用の有無 (1)に関しては、発光強度と光分解効率を上げることを両立するためにpH7.8のHEPES緩衝液を用いた。(2)に関しては、[Ln]>[E]の条件で測定した。なぜならば、発光強度の時間減衰曲線はパルス型となり、一度に多量の中間体を生成することが可能となるからである。(3)に関しては、今回、レーザー光(365nm)を用いたが、照射強度を高くすると必ずしも比例してATPが生成されないことがわかった。すなわち、照射量には最適値があることからパルス繰り返し数は少なくかつレーザー光のサンプル照射面積を広げるなどの工夫が必要である。(4)に関しては、CATPからATPが生成される際ニトロソ化合物が遊離されるが、Eへの阻害作用の影響は小さいものと結論された。以上の実績を踏まえて、装置の改良を進め、次年度中間体の検出実験に供していく計画である。
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Research Products
(2 results)