2005 Fiscal Year Annual Research Report
誘電分光法と小角散乱による生体由来物質群の自己組織化機構
Project/Area Number |
16540372
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 高彰 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (20373029)
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Keywords | 化学物理 / ナノ構造物性 / 溶液 / 分子分光 |
Research Abstract |
(1)誘電分光・ラマン分光による水素結合性液体のダイナミクス、特に記憶効果や誘電摩擦の問題、(2)X線回折法による溶液の静的構造と誘電分光による集団的分子ダイナミクスの相関、(3)生体由来両親媒性高分子が水中で形成するナノ会合体の構造・水和・粒子間相互作用・溶媒効果の精密分析、(4)人工酸素運搬体の粒子間相互作用と機能性、(5)マイクロエマルションの相挙動とミセル構造の関わり、に関し、小角散乱法と誘電分光法を中心とした手法により、ナノメータースケールの静的構造と分子の微視的・集団的ダイナミクスの双方から詳細に検討した。さらに、(6)球状蛋白質の溶液中での平衡クラスター形成という最新の話題に対し、クラスター中の蛋白質の回転自由度及び、クラスターピークと呼ばれるサブピークを含む構造因子を粒子間相互作用モデルフリーに解釈する方法をSQ-IFT法と名付けた新手法の適用により検討中である。 以下に、新規性の高い知見を簡潔に示す。[1]水素結合液体の誘電スペクトルに主要な寄与として現れる協同緩和の寄与を差し引くと残りの高周波成分が、ラマンスペクトルと相似形を示すことを発見し、水および一価アルコールで普遍的に成立する関係であることを示した。[2]50MHzから18THzの水の誘電スペクトルに関し、一般化ランジェバン方程式より導出した双極子相関記憶スペクトルの分析から、束縛回転機構によって100fs以内にほとんどの記憶が失われるが、0.5ps程度の時定数を持つ遅い記憶が、8psのタイムスケールで起こる協同緩和(水素結合網の構造組み換えのダイナミクス)を支配することを証明した。[3]二糖を親水部に持つ糖脂質系両親媒性高分子のミセル水溶液は、剛体球相互作用を仮定した場合より系統的に高い断熱圧縮率を示すことを発見し、糖脂質ミセル間に弱い近距離的引力相互作用が働く事を証明した。
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Research Products
(5 results)