2004 Fiscal Year Annual Research Report
地域分散型解析による地震の系統的震源情報取得のための研究
Project/Area Number |
16540385
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久家 慶子 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50234414)
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Keywords | 地震 / メカニズム / 震源過程 / 地震波 / プログラムパッケージ |
Research Abstract |
平成16年度、以下の3点を実施した。(2)(3)の成果は、2004年アメリカ地球物理学連合で発表した。 (1)プログラム公開にむけた準備 公開にむけてプログラムの整備を実施。マニュアル等の製作をすすめた。 (2)実体波の振幅値および比を用いた震源解析の可能性の検討 短周期地震計のP波やS波の振幅およびその比を用いることによる、震源解析の可能性を検討した。 (3)他のプログラムパッケージをもとにアジア諸国での地震の震源解析での問題点の検証 他の解析プログラムパッケージを用いて、フィリピンで発生した地震の震源解析を実施。アジア諸国での震源解析における問題点を明らかにするとともに、プログラム公開時にどのような情報が必要となるのかを調査した。対象は1994年フィリピン・ミンドロ地震(Ms7.1)とした。この地震は右横ずれ地震ながら、大きな津波を伴い被害をもたらした。津波を起こしたメカニズムは未だ謎である。プログラムパッケージが公開されている遠地実体波逆問題解析により、多点震源メカニズム解と矩形断層面上すべり分布の2つの震源モデルを決定した。得られた結果では、南方に伝播する横ずれ断層成分が卓越。P波初動解やハーバード大学CMT解とも調和的である。また、遠地長周期表面波の振幅・位相の方位特性も、横ずれ断層が卓越するメカニズムで説明できる。一方で、P波波形偉複雑な様相を呈する。世界各地の地震波形から、南北に分布する2つのサブイベントの存在が確認できる一方、距離や方位に対する地震波形の特徴の変化から、波形を複雑にみせている地震波には、地震の震源起因ではなく、地表での反射波や地下構造に起因すると思われるものがある。震源解析において、これらの評価が必要であることを暗示する。
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