2005 Fiscal Year Annual Research Report
地域分散型解析による地震の系統的震源情報取得のための研究
Project/Area Number |
16540385
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久家 慶子 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50234414)
|
Keywords | モーメントテンソル / すべり分布 / チリ北部の地震 / 震源情報 / 地震 |
Research Abstract |
本研究で開発した解析プログラムを2005年6月チリ北部で起きたやや深い地震へ適用、プログラムのテスト・改良を行った。この地震の震動は、チリ大学所蔵の5台の加速度強震計により震央距離300km以内で記録されており、本解析プログラムを国外で試す絶好の機会となった。本開発プログラムから得たモーメントテンソル解は、水平および鉛直方向の節面をもつ縦ずれ成分に卓越するメカニズムである。この解は、ハーバード大学の解と類似し、遠地P波の初動分布とも調和的である。求めたメカニズム解の2つの節面を使って、面上でのすべり分布を本解析プログラムから決定した。水平な面上でのすべり分布は、鉛直な面に比べて観測地震波形をよく説明する。余震の分布が水平であることにも合い、地震が水平な断層面で起こったことを示唆する。高すべり領域は、震源付近にある。大きさは40〜20km四方、静的応力降下量は10-80MPaとなる。ほとんどのすべりは、開始から20秒以内に終わっている。これらの応力降下量やすべり継続時間は、深い地震やプレート内部地震について過去に調べられた値に近い。この地震の特徴が深い地震やプレート内部地震の特徴に由来することが伺える。すべり分布を推定するに当たって、使用データから震源を再決定する必要があった。NEIC震源を用いた場合、地震波の到着時刻がずれ、正しいすべり分布を得られなかった。この問題は、速度モデルの改善では解決できなかった。一方、震源再決定の操作により、速度モデルの誤差を簡単に効率的に消せた。この結果から、本解析プログラムに、新たに、震源決定プログラムを追加した。これにより、速度モデルがよく調べられていない地域においても、本開発プログラムがより確実に解をもたらすことが期待できる。完成したプログラムは、操作案内とともに希望者に配布を始めている。
|