2004 Fiscal Year Annual Research Report
高精度数値モデルによる北太平洋深層循環Pathwayの基礎研究
Project/Area Number |
16540396
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 昌宏 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (90111583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽角 博康 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (40311641)
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Keywords | 高精度海洋大循環モデル / 鉛直拡散係数 / 太平洋深層循環 / 底層水の北上経路 / 境界混合 / age tracer model |
Research Abstract |
水平1°x1°x鉛直45層の分解能を持つCCSR全球高精度海洋大循環モデル(COCO)を、現実的な海底地形と気候値の海面境界条件(風の応力、熱フラックス、淡水フラックス)のもとに、長期積分(5000年)して定常状態を求め、その結果を解析する方法により、主として、鉛直拡散係数の鉛直分布(プロファイル)、水平分布の影響を調べた。とくに、観測から示唆されている大陸棚斜面付近の鉛直混合を簡単なパラメーターで表現したケースの結果と、水平に一様な鉛直混合係数のケースの結果とを比較した。具体的には、全球の深層循環における上昇域として全球の子午面循環量に対する影響が大きいことが知られている(Furue&Endoh, 2005)北太平洋の子午面循環、南大洋からの底層水の流入経路、流入量、上昇域、上昇流量などについて、詳細に調べ、両ケースを比較した。また、age tracer modelを導入し、海面から拡散、移流により深層へ移動しながら一様に加齢するトレーサーの分布を、先の大循環モデルの結果を用いて3000年程度積分し、定常状態として求めた。このデータから、深層水の海面から沈降した後の年齢分布が分かり、北太平洋の底層水の流入、上昇域などの大規模分布が分かる。 その結果、大陸棚斜面近傍での鉛直混合がその海域での鉛直上昇流を誘発し、境界域の多い北太平洋西部に上昇域がかたよる。それに伴って、北太平洋西部に向かう底層水の流量が有意に増加することが認められた。しかし、底層水の北上経路そのものは、海底地形に強く拘束され、ほとんど変わらないことも分かった。この結果は、北太平洋深層で比較的古い年齢の水が北太平洋東部に存在するという、トレーサーモデルの結果や観測されたトレーサー(Δ14C)分布と、整合性がとれていることが分かった。 以上の結果は、北太平洋のみならず、おそらく、南太平洋、インド洋の深層大循環の3次元構造の再現のためには、境界付近の鉛直混合(の更なる観測とパラメータ化)を考慮する必要があることを示唆している。
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Research Products
(4 results)