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2006 Fiscal Year Annual Research Report

東アジア前線帯付近の気候・水循環系にみる季節進行の歪みと異常気象に関する研究

Research Project

Project/Area Number 16540399
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

加藤 内藏進  岡山大学, 教育学部, 助教授 (90191981)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 高橋 正明  東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (70188051)
Keywords東アジアの気候・水循環 / 東アジアの季節サイクルと変動 / 東アジアの前線帯と異常気象 / 梅雨と秋雨 / 季節進行と異常気象 / モンスーンと東アジア
Research Abstract

本研究の目的は,「季節サイクルの変調」という視点を新しい切り口として,異常気象や,温暖化などに伴う東アジアの気候変化予測のための基礎的知見を得ることである。今年度も,梅雨期や秋雨期やその前後を中心とした解析やモデル研究を行って総括するとともに,冬を挟む時期についての今後の研究の展望についても検討した。主な結果は次に例示する通りである。
(1)梅雨最盛期に入る直前の6月前半頃に梅雨前線北方に位置する中国淮河流域では,気温が急激に上昇する割に水蒸気量は上昇せず,春に比べて「不飽和度」が増すこと,それには,当該領域では,北の寒帯前線帯上の擾乱の影響での南風侵入も比較的起きにくいという季節的背景が重要であることを指摘した。
(2)近年30年,6月のアジア域における気候変動を研究した。その結果によると,日本や中国の梅雨前線帯において,降雨の増加傾向が見られる。一方においては,フィリッピン域では減少傾向が見られる。2つの領域における関係性を調べるために,気候モデルを用いて実験をおこなった。梅雨域に加熱をおこなう実験をすると,フィリッピン域により乾燥化がみられ,2つの領域がおたがい協調してこのような気候パターンが出来やすいことが確認できた。
(3)盛夏から全国的な秋雨期への移行時に見られる九州北西部での8月終わり頃の降水のピークは,台風の影響というよりも,数100km北方に停滞する秋雨前線の暖域での降水としての寄与が確認できた。但し,このような現象は1990年代以降よりも1970〜1980年代に多く見られた点も興味深い。前線の暖域でのまとまった降水は,梅雨最盛期の九州でもしばしば見られた(1997〜2005年の解析)。この状況での降水は,九州北部の梅雨期全体の降水の約20%を占め,この状況は,単なる孤立積乱雲というよりも,梅雨最盛期の集中豪雨を特徴づける組織化された降水系の出現に伴っており,強い下層南風が明瞭な高気圧性曲率を持たない状態で九州を通過する状況で生じていたことが分かった。このように本研究は,暖候期の降水の季節的背景やその変動には,亜熱帯前線帯の暖域での大寒過程にも注目する必要性を例示している。

  • Research Products

    (6 results)

All 2007 2006

All Journal Article (6 results)

  • [Journal Article] Dynamical processes related to the appearance of the Okhotsk high during early midsummer2007

    • Author(s)
      Naoki Sato
    • Journal Title

      Journal of Climate Vol.20(受理印刷中)

  • [Journal Article] Interannual change in summertime precipitation over northeast Asia2006

    • Author(s)
      Koki Iwao
    • Journal Title

      Geophysical Research Letters(電子版) Vol.33(電子版)

      Pages: L16703(5)

  • [Journal Article] 東アジアの季節サイクルや日々の気象に注目した最終氷期頃の気候環境の理解へ向けて2006

    • Author(s)
      加藤内藏進
    • Journal Title

      環境制御 28号

      Pages: 17-27

  • [Journal Article] Dynamical processes related to the appearance of quasi-stationary waves on the subtropical jet in the midsummer Northern Hemisphere2006

    • Author(s)
      Naoki Sato
    • Journal Title

      Journal of Climate Vol.19(No.8)

      Pages: 1531-1544

  • [Journal Article] 天気図上の梅雨前線出現域の変動と前線帯への下層南風域の東西スケールについて2006

    • Author(s)
      中山祐貴
    • Journal Title

      岡山大学地球科学研究報告 Vol.13(No.1)

  • [Journal Article] On the southerly wind invasion processes toward the Akisame (Autumn Rainfall) front in East Asia2006

    • Author(s)
      Kuranoshin Kato
    • Journal Title

      Proceedings of the Third Japan-China Joint Workshop on Lower Atmosphere and Precipitation Study(LAPS) 巻号なし

      Pages: 20-24

URL: 

Published: 2008-05-08   Modified: 2016-04-21  

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