2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540400
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 久徳 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (80112100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣岡 俊彦 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (90253393)
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Keywords | 気象学 / 気候変動 / 対流圏・成層圏相互作用 / 非帯状基本場 / 突然昇温 / 予測可能性 |
Research Abstract |
今年度は主として対流圏における卓越パターンの真偽性と突然昇温を例にした予測可能性について研究した。前者を敷桁すると,卓越パターンとして北極振動(AO)がよく知られているが,これは見かけであり,相互作用を研究する意味はないことを明確にするためである。すなわち,AOは北大西洋振動(NAO)と太平洋・北アメリカ振動(PNA)という2つの独立した振動から出てくる見かけの振動であり,NAOとPNAについてのこれまでの研究で,基本的には卓越モード間の研究は必要十分であるということである。 まずNAOとPNA, AOが位相空間の同一平面に存在することを明らかにした。またなぜNAOとPNAが真の振動であるにもかかわらず,EOF解析を行うとAOがEOF第一成分として抽出されるかを解明した。ポイントはNAOとPNAパターンが空間的に作用中心を共有することであった。次にこれらを独立成分分析を用いて,何が独立な成分であるかを解析した。結果はNAOとPNAが独立であることを示した。ここからAOはNAOとPNAから出てくる従属成分であることが理解できる。データの一部を使うと,空間的に作用中心を共有しない場合のEOF解析はNAOとPNAになることも示される。これらの解析は有意性が必ずしも十分ではないので,気候モデルを用いた現在気候実験の出力に広げて解析を続けた。これらでも同様の結果が得られ,AOは見かけであることが改めて確認された。 突然昇温の予測可能性については,次のような結果を得た。気象庁1ヵ月アンサンブル予報値と全球客観解析データを用いて,近年の北半球冬季に生じた4例の成層圏突然昇温の予測可能性について生起パターンから検討を行い,波数1のプラネタリー波が引き起こす突然昇温に比べ,波数2や3のプラネタリー波が関わる場合は予測が難しいことを示した。
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Research Products
(5 results)