2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540401
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和方 吉信 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (90201871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊賀 啓太 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (60292059)
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Keywords | 黒潮流量 / ロスビー波 / TOPEX / POSEIDON / 海洋大循環モデル / 経年変動 / 黒潮前線波動 |
Research Abstract |
1.海洋大循環渦解像モデル結果の統計解析 高分解海洋大循環モデル(RIAMOM)の結果を用いて黒潮の短周期変動の解析を行った。このモデルの水平分解能は(1/12°×1/12°)で鉛直には70層に分割している。このモデルを気候値の風応力を駆動力として25年間走らせた後の1年間のデータを解析した。短周期変動の強い領域が黒潮沿い存在し、特に九州南西に強い海域が存在した。その変動の卓越周期は約25日であった。TOPEX/POSEIDONの海面高度データの解析も行ったが、この衛星データにもほぼこの海域に大きな偏差が存在した。この変動は東シナ海の黒潮にそって観測されている黒潮前線波動に対応するものである。そこで、九州南西の短周期擾乱の強い領域と、その上流の東シナ海の黒潮流域を、複素経験直交関数を用いて解析を行った。その第1モードは、比較的水深の浅い海域に沿って東シナ海陸棚に侵入する擾乱成分を捉えていた。波長を見積もると223kmで位相速度が9kmであった。また、第2モードはトカラ列島を直接通過する擾乱であった。また、第3モードは、沖縄諸島の西方を早い速度で北上する擾乱を捉えていた。これらの擾乱の進入経路の違いはトカラ海峡通過流などの変動に関与している可能性がある。今後、これらの関連と、波動擾乱の構造をさらに明らかにする予定である。 2.海底捕捉波の数値シミュレーション 海底捕捉波の解析には非常に高分解のモデルが必要であるため、現在公開されているOFES海洋モデルの計算結果を解析し、その年変動成分を調べている。公開されている0.5°水平分解能では海底捕捉の様子が捉えづらく0.1°の結果を再度解析中である。 3.塩分・熱フラックス評価 NCEP/NCARの気象再解析データから、東シナ海における塩分(淡水)フラックスと熱フラックスを計算し、その経年変化を調べた。また、SODAの海洋再解析データを用い、東シナ海の海面塩分密度の経年偏差のEOF解析を行った。北緯33°東経123°を中心に塩分密度の大きな経年変動が存在する。しかし、この変動は東シナ海の淡水フラックスとの関連は小さかった。変動の原因は、長江河川水量の経年変動や風応力の経年変動による長江起源の低塩分水と周りの高塩分水との塩分フロントの移動などが考えられる。これらの原因を更に検討する予定である。
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Research Products
(3 results)