2005 Fiscal Year Annual Research Report
福井県大野盆地南東部における岩屑なだれと断層活動について
Project/Area Number |
16540414
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山本 博文 福井大学, 教育地域科学部, 助教授 (50240122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 正志 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (70093440)
藤井 純子 福井大学, 教育地域科学部, 教務職員 (50228946)
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Keywords | 大規模崩壊 / 木落断層 / 塚原野台地 / 経ヶ岳 / 保月山 / 岩屑なだれ / 活動履歴 / 鳩ヶ湯-小池断層 |
Research Abstract |
福井県奥越地域に位置する経ヶ岳では,その南西部に経ヶ岳崩壊源,保月山崩壊源と呼ばれている馬蹄形カルデラが存在し,両崩壊源より流下した岩屑なだれ堆積物が西〜南西麓に緩斜面や塚原野台地と呼ばれる高まりを形成している. 調査の結果,本地域では両崩壊源から5万年間に4回〜6回,岩屑なだれが流下したことが明らかとなった.最も古い崩壊は4.1〜4.6万年前(木片の14C年代)に発生し,保月山崩壊源から流下し,主に西へと広がった.次の崩壊は経ヶ岳崩壊源で発生し,南西に流下し,塚原野台地を形成した.崩壊年代は岩屑なだれ堆積物を覆う土壌最下部から姶良Tnテフラの濃集層が認められることから,3〜4万年前と推定される.その後,保月山で再度崩壊が発生し,その一部は南へ流下し,塚原野台地の北東側の緩斜面域まで達している.この緩斜面域では岩屑なだれ堆積面は3つに分けられ,地形的特徴から古い順に伏石面,萩ヶ野面,森本面と呼ばれている.保月山からの堆積物は流下方向から最も南側の伏石面を形成したと考えられる.発生年代は約3.1万年前(木片の14C年代)である.萩ヶ野面は経ヶ岳崩壊源から供給された約2.1万年前(木片の14C年代)の岩屑なだれ堆積物と推定される.最も新しい森本面は経ヶ岳崩壊源からまっすぐ南西に伸びていること,その流下ルートに分布する岩屑なだれ堆積物中の木片の年代がいずれもほぼ同じ5590〜5990年前(14C暦補正年代)を示すことから,この時期に経ヶ岳崩壊源から流下したといえる.また保月山崩壊源では数1000年前にも小規模な崩壊が認められる. 経ヶ岳近傍には中部地方の右横連れ断層系に属する活断層群が北東-南西方向に横切っている.このうち経ヶ岳南方の木落断層では5000〜6000年前頃の活動が知られており,経ヶ岳の最後の崩壊はこの断層活動が引き金になった可能性がある.
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Research Products
(3 results)