2004 Fiscal Year Annual Research Report
脆性領域における岩石剪断組織の形成と帯磁率異方性に関する実験的研究
Project/Area Number |
16540417
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堤 昭人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90324607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 尚人 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (30202964)
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Keywords | 付加体 / 四万十帯 / 帯磁率異方性 / 変形実験 |
Research Abstract |
未固結堆積物が大量に供給されその後の圧密と変形を被る付加プリズム内での変形については,普遍的に利用可能な歪の指示物が知られていない為に,剪断帯そのものの力学特性や歪状態に関する定量的な議論がほとんど行われていない.本研究計画では,変形量の指標として帯磁率異方性(AMS)を用いることが可能であるかどうかを,岩石変形実験を行い,変形前後の試料のAMS測定を行うことで検証をすすめている.さらに四国高知県下に分布する四万十帯の付加体岩石中の変形構造を観察し,これらの試料を採取してAMS測定を行うことで,天然の変形組織とAMSの関係を調べている. 【付加帯構成岩石の内部変形構造調査および天然および変形実験試料のAMS測定】 変形実験には,横浪メランジュで採取した泥岩を粉砕し粒径を106〜250μmに揃え,樹脂で円筒状に固めた試料を使用した.初期のAMSを測定した後,試料を一軸圧縮することで所定の変形を加えて試料のAMS異方度の変化を調べたところ,初期の異方度に依らず異方度の変化量と歪との間に明瞭な比例関係が認められた,横浪メランジュにおける泥岩基質中のAMS最小軸方位は,鱗片状劈開面の方向に対してほぼ垂直な関係にあり,また異方性の度合いを示すP'値は整然層泥岩の示す値よりも大きい,実験結果より,P'の値は圧縮変形の進行と共に増大することが予想されるので,このメランジュ物質は堆積後の剪断変形に伴い,面構造に垂直な方向からの圧縮を受けながら,現在観察される非対称面構造を形成したと考えられる. 【リング式含水剪断試験システム設計・製作】 一軸プレスに組み込んで用いることのできる剪断試験装置(試料ホルダー部)を設計した.試料に与える剪断の形式は,大規模剪断変形を与えられるようリング剪断式とし,回転速度は0.01mm/秒〜1m/秒の範囲の変位速度が得られ設計仕様とした.
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