2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒマラヤと日本列島における超高圧変成岩体の探索と地質構造解析
Project/Area Number |
16540420
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山本 啓司 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (60244224)
|
Keywords | ヒマラヤ変成帯 / 日高変成帯 / 地質構造 / エクロジャイト / カンラン岩 |
Research Abstract |
<ヒマラヤ変成帯に関する研究> ヒマラヤ変成帯北西部に産出するコーズ石を含む超高圧エクロジャイトの全岩主要元素組成、微量元素組成ならびに同位体年代測定結果(これらの分析・測定は岡山大学地球物質研究センターの共同利用研究による)にもとづいて、エクロジャイトの原岩を供給した玄武岩質火成活動について検討した。エクロジャイトの起源である玄武岩質火成活動は少なくとも3回(約267Ma、約180Ma、および約114Ma)あったことが推測できた。これらの火成活動は、エクロジャイトの原岩を含む大陸棚堆積物が過去のホットスポットを通過したときに起きたものと解釈できる。 <北海道日高変成帯南部の幌満カンラン岩体の地質調査> 幌満カンラン岩体は、メルト抽出の影響をあまり受けていないという特徴から上部マントルの岩石学的研究の対象としてよく取り上げられている。このカンラン岩体は日高衝突帯の形成過程でマントルから分離して地殻内に定置したと考えられるので、岩体周導には高温高圧条件で形成された変成岩の存在が期待できる。16年度に実施したカンラン岩体とその周囲の地層・岩石との境界の性質を明らかにするための調査を、本年度も実施した。岩体の北東部、南部、東部においてカンラン岩類と片麻岩類の境界の位置を4地点で決定できた。カンラン岩体の西部では、カンラン岩と堆積岩起源の弱変成岩類との境界の位置を1地点で決定できた。境界付近の岩石の露頭規模の変形構造を記載し、定方位の岩石試料を採取した。 焦点画像合成システム(本研究費により16年度に導入)を用いて、既に保有しているものと本年度の調査で採取した岩石試料についての詳細な光学顕微鏡観察を行った。これらの結果を総合すると、幌満カンラン岩体は全体として東から西に衝上して堆積岩類の上に定置したと推察される。
|