2004 Fiscal Year Annual Research Report
小天体衝突起源の成層圏ダストが生命環境システムに及ぼした影響の評価
Project/Area Number |
16540425
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海保 邦夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00143082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 務 室蘭工業大学, 機械工学科, 教授 (00302224)
浅野 正二 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00089781)
藤巻 宏和 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90133933)
CRAMER Benjamin S. 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 小天体衝突 / 大量絶滅 / エアロゾル / 硫黄 / イリジウム / ペルム紀 / 暁新世 / 始新世境界 / 温暖化 |
Research Abstract |
1.衝撃波生物実験により、白亜紀/第三紀境界の小惑星衝突による海中衝撃波が、メキシコ湾とカリブ海に生息する海洋動物のほとんどを死滅させたことを明かにした。浮き袋を持つ魚類は、大西洋の広い範囲で海中衝撃波により死滅した。 2.2Dモデリングによる衝突シミュレーションを行ない、直径21kmの小惑星衝突により成層圏に上がる海水、地殻、マントルの量を求めた。 3.成層圏硫酸エアロゾルの量と粒子サイズによる太陽光反射率を求めた。 4.中国のライビンのペルム紀中期/後期境界に相当するグアダルピアン期/ロピンジアン期境界(2億6000万年前)に、ニッケルとクロームの濃集とストロンチウム同位体比の減少が大量絶滅と同時に起きたことを発見した。小天体の海洋衝突かマントル深部からの火山噴火などの急激な事件が起きた可能性がある。 5.スペインのカラバカのコア中に暁新世/始新世境界(5500万年前)の極端温暖化の始まりに伴う、イリジウム(2ppb)とコロネンの濃集を発見した。このデータは、暁新世/始新世境界に、地球に小天体が衝突して、極端温暖化を導いたことを示している。また、同時期に中央太平洋に高塩分・温暖・低酸素水塊が水深1700m付近に出現し,約3万年かかって広がるのに伴い,深海底生有孔虫種の約1/3が絶滅し,多様度の低い異常な底生有孔虫群が約8万年間出現,その後高塩分・温暖・低酸素水塊の縮小・消滅に伴い底生有孔虫の多様性が回復したことを、初めて明かにした.
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