2004 Fiscal Year Annual Research Report
ペルム紀後期有孔虫化石群集と石灰岩相、それらの古生物地理学的・テクトニックな意義
Project/Area Number |
16540428
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
小林 文夫 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (70244689)
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Keywords | ペルム紀 / 有孔虫化石 / 群集解析 / 石灰岩相 / 古生物地理 / テクトニクス / 小林文夫コレクション / 石灰岩岩石薄片 / データベース化 |
Research Abstract |
平成16年夏1週間にわたり、スイス人研究者3名(Louisette Zaninettiジュネーブ大学副学長、Rossana Martini同大学助教授、Lucia Carcione同大学PHD生)とともに、赤坂石灰岩の上部ペルム系、宮崎県高千穂と熊本県球磨川流域の上部ペルム系ならびにペルム系-三畳系境界層の層序と有孔虫化石群集解明のための野外調査を行った。このテーマに関連して、野外調査終了後3日間、彼女らとともに、県立人と自然の博物館に保管されている私が作成した三畳系石灰岩岩石薄片約800枚の鏡下観察を行い、日本の三畳紀有孔虫群集組成の特性や年代、テーチス海域の群集との相違を議論し、非常に有意義であった。 初秋には、アンカラの中東工業大学Demir Altiner教授と、トルコ共和国タウルス山地のペルム系石灰岩の石灰岩相と有孔虫群集に関する共同研究を1週間現地で行った。採集したサンプルのうち約90kgを航空便で日本に送り、石灰岩薄片2,100枚を作成した。タウルス山地の古生界はゴンドワナ大陸北縁起源と考えられ、有孔虫化石群集の解析は地中海沿岸域の造構史の再構築に貢献するだけでなく、テーチス海域や環太平洋地域のペルム紀有孔虫古生物地理やテクトニクスの諸課題とも深く関わり、今後の研究の進展が十分に期待される。 今年度は岩石薄片の作成と顕微鏡写真撮影に多くの時間を費やしたため、当初予定していた津久見石灰岩の調査は来年度に繰り越されることとなった。そのかわり、赤坂石灰岩の最上部層(上部ペルム系)とかねてから問題のあった下部層を精査した。それらの有孔虫群集と年代に関する成果を論文化しようとしているところである。 本研究課題のもう一本の柱である「小林文夫コレクション」(人と自然の博物館に登録・保管されている)のデータベース化については、高性能実体顕微鏡・パソコンなどを購入するとともに、既存のスキャナーなど周辺機器を整備し、体系的なデータベース作成を最終目標に掲げた長期計画の基礎を固めた。平成17年2月からは、アルバイト作業員の協力を得て画像処理をはじめたところである。
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Research Products
(5 results)