2005 Fiscal Year Annual Research Report
ペルム紀後期有孔虫化石群集と石灰岩相,それらの古生物地理学的・テクトニックな意義
Project/Area Number |
16540428
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
小林 文夫 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (70244689)
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Keywords | ペルム紀 / 有孔虫化石 / 群集解析 / 石灰岩相 / 古生物地理 / テクトニクス / 小林文夫コレクション / データベース化 |
Research Abstract |
Kobayashi (2003)が考察した日本のペルム系-三畳紀の古地理・造構過程を秋吉帯のテクトニクスの視点から検証するため、山口県美祢市域に広域分布するペルム紀後期付加体常森層、ならびにそれを不整合に被う上部三畳系美祢層群平原層に含まれる石灰岩礫の年代分布と供給源に関する調査・研究を行った。その結果、一部確定できないものを除くと、両層の石灰岩ブロックやクラストのほとんどすべては秋吉石灰岩に由来することが判明した。さらに、従来、平原層の基底礫岩とみなされていた"滝口石灰岩"は三畳系平原層から分離し、ペルム系常森層に帰属させる方が好ましいと思われる。 宮崎県高千穂の上部ペルム系三田井層では、有孔虫化石群集の詳細な検討から、これまでペルム系最上部(Changhsingian)と考えられてきた部分は、上部ペルム系下部(Wuchiapingian)に相当することが判明した。また、同様に赤坂石灰岩にもChanghsingianは発達しないことが確認された。これらのことは、Panthalassa海山石灰岩における中・古生界の整合一連性を積極的に指示するデータが見いだされていないことを意味し、ペルム-三畳系境界海洋古環境異変に関する議論に一石を投ずることにつながる。 京都府の舞鶴帯では、含Lepidolina石灰岩礫とColaniella-Nanlingella石灰岩ブロックが隣接分布する露頭を新たに見いだし、Kobayashi(2003)が強調したように、舞鶴層群は層序的上下関係を示さない斜面堆積物であるとみなされる。兵庫県の舞鶴層群では追加調査を行い、これまでのデータと併せて、有孔虫化石群集を3本の論文にまとめた。これら3本を含め、本課題研究に関連する論文は平成17年度に5本が公表され、3本が現在印刷中、1本が受理済み、1本がELSEVIER社の電子版で公開済みである。さらに、本課題研究の今後の進展を脳裏に描き、和歌山県由良町で秩父帯南帯の石灰岩ブロックの予察調査を行った。 「小林文夫コレクション」(兵庫県立人と自然の博物館に保管されている中・古生代石灰岩岩石薄片22,000枚)のデータベース化については、中・長期的に効率的に進めていきたいと考えている。同コレクションのタイプ標本のデータベース化が完了したので、成果報告書に添付した。
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Research Products
(10 results)