2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540437
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
井上 厚行 千葉大学, 理学部, 教授 (30150270)
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Keywords | イライトースメクタイト混合層鉱物 / 熱水変質作用 / XRD構造解析 / HRTEM像 / カオリン鉱物 / ポリタイプ / EBSD / 溶解再結晶作用 |
Research Abstract |
岩手県葛根田地熱系近傍の地熱探査井IT-2コアではスメクタイトからイライトまでの連続的な変化が認められる。その変換反応に伴う混合層構造、化学組成、および酸素同位体組成変化について記載した。さらに、そこでのスメクタイトーイライト変換反応機構の精密化を図るために、XRDによる混合層構造の一次元構造解析、アルキルアンモニウムイオン処理による成分層の膨潤特性を評価した。同時に、アルキルアンモニウムイオン置換した試料のHRTEM観察を行った。その結果、火山ガラスを母材とする熱水変質過程におけるイライトースメクタイト混合層鉱物の生成は、従来考えられていた固相転移や単純な溶解再結晶作用による変化ではなく、特にライヒバイテ(R)0の混合層鉱物はレクトライト様のR1の混合層の直接沈殿によるスメクタイトとR1の混合物と見なせることなどが明らかとなった。これらの成果は、現在論文として投稿中である。さらに、レクトライトの生成条件を明確にするために、随伴する石英やカルサイトを分離し、それらの同位体測定および流体包有物の観察測定の準備を進めている。 平行して、カオリン鉱物のポリタイプ変化についても北海からの続成作用に由来する試料と鹿児島県春日鉱山からの熱水変質作用に由来する試料のHRTEMおよびEBSD観察を行い、カオリナイトーディッカイト変換反応機構を明らかにするとともに、新しい積層構造をもつカオリン鉱物を発見し、その積層構造を解析した。これらの成果はすでにいくつかの論文として投稿し、すでに一部は印刷されている。 これらの研究をとおして、溶液の存在する場における粘土鉱物の構造変化は溶解過程と成長過程が共存して進行することが一般的であると見なせる有効な事例研究を提示することができた。今後さらに、この研究を進め、混合層鉱物のみならず、カオリン鉱物の相変化過程の精密化を図っていく予定である。
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Research Products
(5 results)