2005 Fiscal Year Annual Research Report
ガスハイドレート高圧相固溶体の分子動力学シミュレーション
Project/Area Number |
16540439
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
赤松 直 高知大学, 教育学部, 助教授 (60211695)
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Keywords | 混合ガスハイドレート / 高圧相 / 固溶体 / 分子動力学法 / 分子動力学シミュレーション / MD / 格子定数 |
Research Abstract |
本研究の目的は,混合ガスハイドレート(ガスハイドレート固溶体)の高圧相について,その諸性質を分子動力学(MD)計算で再現&予言(予測)するとともに,諸性質のあらわれるメカニズムをミクロな原子レベルで考察することにある.昨年度より,CH4+CO2混合ガスハイドレート(構造II型)について3種類の系列の固溶体, 1.小さなSケージに小さなCH4分子が,大きなLケージに大きなCO2分子が完全に濃集して分布した固溶体 2.SケージとLケージにCH4分子とCO2分子が均等に入った固溶体 3.小さなSケージに大きなCO2分子が,大きなLケージに小さなCH4分子が完全に濃集して分布した固溶体 を作成し,格子定数およびモルエンタルピーの組成依存を調べてきた.今年度は,計算に使用した粒子数を多くしてより精密な計算を行なった.低温において結晶中のCO2存在率が高くなってくると,CO2分子が自主的に選択配向を起こし,その結果,結晶の対象性が立方晶系から正方晶系に低下するという現象が新たに観察された.なお,昨年までに得られた以下の特徴的な結果は粒子数を多くしても再現されている.1.格子定数値は結晶中のSケージおよびLケージにおけるCO2存在率に応じて系統的に変化していくが,特にSケージ中のCO2存在率に敏感である.2.上記3種類の固溶体の中では,CO2ガスがLケージに優先的に入る系列の構造が最も安定である. 今年度はまた,Filled ice構造(斜方晶系)のCH4+CO2混合ガスハイドレートについても計算を行い,格子定数とモルエンタルピーの組成依存を調べた.この構造では固溶領域が限られており,結晶中のCO2存在率が約20%以上になると構造が保てなくなる.構造を保つことのできる組成範囲内では,格子定数は組成に応じて系統的に変化する.
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