2004 Fiscal Year Annual Research Report
磁化プラズマにおけるバーガース渦形成とそのダイナミックス
Project/Area Number |
16540453
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
河野 光雄 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00038564)
|
Keywords | 渦励起 / 密度ホール / バーガース渦 / 粘性 / 衝突 / 渦の融合 |
Research Abstract |
磁化プラズマにおける構造形成の研究は、渦格子、スパイラル渦、多重極渦など、実験と理論の両面から進められてきた。EXBドリフトに起因する回転運動を基礎に、プラズマの生成に依存して様々なタイプの構造が形成されることが調べられてきている。その中で特異なものが台風様渦である。速度場の計測データから、流体でよく調べられているバーガース渦の近傍解と対応するものであると指摘されていたが、粘性を考慮しただけではバーガース解を構成することは出来ず、従って台風様渦の広がりから求めた粘性の大きさが異常に大きいという指摘の基礎も危ういことがわかった。台風様渦は弱電離プラズマに於いて観測されるもので、流体とのアナロジーから粘性だけでバーガース渦が出来るとしたものであるが、プラズマは2流体であり、磁化によって渦運動にはイオンと電子がともに同等の寄与をするため、イオンだけの1流体では結果を説明できないためである。このため粘性のみならず衝突を考慮する必要がある。衝突は中性粒子とのそれが主要である。以上からイオンと電子の連続の式、運動方程式から軸方向には一様な軸対称解を求めて、実験結果を再現する結果を得た。この近軸解はバーガース渦となっているが、流体のバーガース解では渦の広がりが粘性を中心での渦度で除したものの平方根に比例するのに対し、プラズマでは渦の広がりはイオン粘性をイオン音波速度で除したものにイオン-中性粒子衝突時間と電子-中性粒子衝突時間の比をかけたもので表される。結果としてイオン粘性は古典的なものと比べて異常に大きなものであるが、流体のバーガースのそれとは異なる物理が背後にあるといえる。この結果は現在論文にまとめているところである。 また、径方向速度が中心向きであるため、同じ極性をもつ2つの渦は互いに接近することになる。これは互いに他の周りを回るオイラー渦とは異なっており、電子プラズマで観測されている渦の融合はそれらがオイラー渦ではないことを示していると思われる。
|