2005 Fiscal Year Annual Research Report
内穀励起状態での分子変形を利用したフルオロメタン分子の光解離反応の制御
Project/Area Number |
16550015
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉田 啓晃 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90249954)
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Keywords | フルオロメタン / 内殻励起 / 飛行時間質量分析器 / 運動量画像分光 / シンクロトロン放射光 / イオン対生成 / 3フッ化メタン / 運動エネルギー放出 |
Research Abstract |
昨年度に立ち上げ調整した位置検出型飛行時間質量分析器を用いて、今年度は3フッ化メタン(CHF_3)分子について運動量画像分光実験を行った。直線偏光したシンクロトロン放射光でCHF_3分子の炭素原子(C)の1s電子をσ*a_1,σ*e,3pe,イオン化連続状態(Icont.)などさまざまな状態に励起して、その後に解離生成するH^+やF^+など各種イオンの角度分布や運動エネルギー分布を調べた。F^+の運動エネルギー分布のピークはいずれの励起でも4eV付近ではあるが、σ*a_1,σ*e,3pe,Icontと励起エネルギーが高くなるにつれてピークエネルギーが若干(0.1〜0.2eV程度)高エネルギー側にシフトしていることが分かった。一方、H^+の運動エネルギー分布のピークは、σ*a_1(5.8eV),σ*e(6.0eV),3pe(6.1eV),Icont(6.5eV)と、励起エネルギーが高くなるにつれてピークエネルギーが0.7eV程度高エネルギー側にシフトしている。この結果をより詳細に検討するために、3pe励起の際に生じるH^+を含むイオン対生成過程(H^+-CF_2^+),(H^+-CF^+),(H^+-F^+),(H^+-C^+)での解離時の運動エネルギー放出分布を調べた。(H^+-CF_2^+)と(H^+-CF^+)の場合には5〜6eVがピークになるのに対して、(H^+-F^+)と(H^+-C^+)の場合には10〜12eVがピークになっており、解離イオンがより大きな運動エネルギーを持つことが分かった。したがって、励起エネルギーが大きくなるにつれて、より大きな運動エネルギーを持つ(H^+-F^+)と(H^+-C^+)のようなイオン対解離過程が多くなることによって、H^+の運動エネルギー分布のピークが高エネルギー側にシフトしているのだと考えられる。
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