2004 Fiscal Year Annual Research Report
共振器を用いた超高感度ミリ波分光法の開発とラジカル種の高感度検出
Project/Area Number |
16550018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 賢介 九州大学, 理学研究院, 助手 (70165017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 桂一 九州大学, 理学研究院, 助教授 (50037280)
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Keywords | ミリ波共振器 / 分子錯体 / ラジカル錯体 / 分子間振動 / フーリエ変換マイクロ波分光 / ミリ波分光 / 超高速ジェット / 光解離 |
Research Abstract |
本年度はラジカル種・イオン種及びそれらの分子錯体の観測を目的としてミリ波及びセンチ波共振器を用いた高感度二重共鳴分光装置の開発を行ったので報告する。 ミリ波分光用共振器は主鏡径130φ、共振長600mmの共焦点型共振器とした。片側は10インチ真空セル中に設置し、もう片方の可動鏡はポリエチレンブリュースター窓を挟んで真空外に配置した。可動鏡はパルスステージで制御した。ブリュースター窓の反射により共振器にミリ波を入射し、窓の透過光に重なって共振器の出力が得られる。ジェットセルは既存の大型拡散真空ポンプで排気した。この方式の利点は、(1)ノズルから近いラジカル錯体の濃度が高い所にミリ波ビームを集光するため高感度が得られる。(2)高反射率の鏡を用いるため共振器の効率がよい。(3)可動鏡の制御や入射光のアライメントが容易である。(4)拡散ポンプを用いるためチャンバーの真空度がよく、振動によるノイズが避けられる点にある。活性種を含む分子錯体を効率よく生成するため光解離スリットジェットノズル及び電子衝撃連続スリットノズルを製作した。 感度を向上のため超音速ジェット及びミリ波共振器と直交させてセンチ波共振器を設置しフーリエ変換マイクロ波(FTMW)分光法との二重共鳴法により分子錯体のミリ波スペクトルを高感度検出する装置を製作中である。この方法の利点は、(1)高感度なFTMW分光法により分子錯体の回転遷移を検出後、生成条件及び回転定数などのデーターを基に複雑で周波数予測が困難な分子間振動遷移を検索するため実験が極めて容易になる。(2)ミリ波で分子錯体の分子間振動を励起し、一準位を共有する回転遷移をFTMW分光法で検出する二重共鳴法により極めて高感度で分子間振動遷移を検出・帰属できる。(3)放電ノズル、光解離ノズル、レーザー蒸発などのラジカル錯体生成技術と組み合わせるのに十分な感度を持つ点にある。センチ波ピンスイッチやアンプ、倍周器、ミキサーなどを購入した。センチ波共振器用主鏡は240φで可動機構を含め製作中である。ピンスイッチの制御用に高速I/Oボードを、データー入力用に高速A/Dボードを購入し制御プログラム開発中である。 装置の完成を急ぎ測定開始する予定である。(p)H_2-HCN-(o)H_2などの分子錯体を測定して装置の感度を確かめ、OH-COなどのラジカル錯体を検出し光解離ノズルなど生成手法の得失を検証する。その後ベンゼン・ヨウ素錯体など大きな分子錯体の検出や光解離実験に応用する。
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