2006 Fiscal Year Annual Research Report
TTFを基本構造とする電荷移動相互作用型柔軟構造オリゴマーホストの構築
Project/Area Number |
16550026
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
川田 勇三 茨城大学, 理学部, 教授 (10152969)
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Keywords | TTF / 超分子 / 大環状化合物 / 電子供与体 / 電子受容体 |
Research Abstract |
過去2年間と同様に、TTFを大環状につなぎ、受容体型ゲストをinduced fitを伴いつつ認識・取り込みを行うホスト化合物の合成に取り組んだ。TTF4個を含む28員環型ホストについては、空孔径が大きすぎる恐れが強いものの、溶解度の点など、取り扱いの容易さから当初の合成ターゲットとして取り組んできた。しかし、先んじて合成に成功したグループがあることが分かり、合成を中止せざるを得なかった。 TTF3個を含む18員環型ホストについては、最後にTTF化する、TTFそのものを使う2つのルートを検討した。第一のルートでは、予想通り溶解度は低いものの、対応する1,3-dithiole-2-one/thioneを得ることが出来た。しかし、4,5-位に様々な置換基をもつ1,3-dithiole-2-one/thioneとのカップリングを多様な条件で試みたが、これらを大過剰に用いても、目的物は有意な収率では得られず、一部の位置が未カップリングのもの、また、分子内でTTF形成したものなどが得られた。 大過剰の試薬を必要としないことや分子内カップリングを防止することが重要と考え、1,3-dithiole-2-one/thioneではなく、TTFそのものを環状につなぐ第二のルートがより適切と判断し、まず、その要素化合3,4-bis(2-bromoethylthio)TTF、3,4-bis(2-ethoxycarbonylethylthio/2-cyanoethylthio)TTFの合成を試みた。後者のモノセシウム塩を前者と反応させることで直線状TTF3量体を得ることが出来た。現在、両端の保護基を外し、目的物に変換する段階の検討をしている。極めて低収率ではあるものの目的物は得られていると判断しているが、物性研究を行える量、純度には達していない。
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