2005 Fiscal Year Annual Research Report
キラルなアミノアルコール系有機分子触媒の合成と不斉炭素-炭素結合生成反応
Project/Area Number |
16550032
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
高部 圀彦 静岡大学, 工学部, 教授 (30022239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 秀実 静岡大学, 工学部, 教授 (20201072)
間瀬 暢之 静岡大学, 工学部, 助手 (40313936)
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Keywords | 有機分子触媒 / 不斉合成 / 環境調和型合成 / プロリン誘導体 / アルドール反応 / Michael反応 |
Research Abstract |
有機分子触媒を用いた不斉合成反応は、これまで主として有機溶媒中で達成されており、水中での反応は成功していなかった。昨年度の研究担当者らの有機溶媒を使用しないキラル相間移動触媒の研究結果から、今年度は緻密に分子設計した有機分子触媒を用いることによる水中での不斉有機合成反応の確立について検討を行った。 生体内での酵素反応は基質が酵素内の疎水性反応場に導入されることにより反応が開始することより、有機分子触媒として使用するプロリン誘導体の側鎖部に疎水性の長鎖アルキル基を導入したジアミン系触媒を合成した。 この有機分子触媒の水中での有用性を検討するために、まず、代表的な炭素-炭素結合反応である不斉アルドール反応について検討した。その結果、シクロアルカノンと芳香族アルデヒドとのアルドール反応を水のみの系で行なうことにより、極めて高い収率とエナンチオ選択性が達成されることが明らかになった。この結果は、有機溶媒をまったく用いない水中のみでの有機分子触媒的不斉合成の初めての成功例であり、今後の環境調和型不斉有機合成反応として大きな一歩を踏み出すことができた。 さらに、この有機分子触媒を用いたアルデヒド、ケトン類とβ-ニトロスチレンとのMichael反応についても検討を加えた。まず、水中での反応を行った結果、有機分子触媒によるβ-ニトロスチレンの重合が副反応として起こることが明らかとなった。そのため、水の代わりに飽和食塩水中あるいは海水中で行った結果、重合を完全に抑えることができ、極めて収率よく不斉Michael反応が進行することを明らかにした。これは、地球上に極めて大量に存在する海水も不斉合成の溶媒として利用できるものとして注目されている。
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Research Products
(4 results)