2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子と非交互共役系の電子特性を基盤とする機能性超分子の構築
Project/Area Number |
16550040
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村藤 俊宏 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (40253140)
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Keywords | ヘテロ原子 / 非交互共役系 / 超分子 / アズレン |
Research Abstract |
アズレニル基を配位子とする有機リン化合物の合成を行い、その構造特性ならびに反応特性について明らかにした。具体的には、(1,3-ジクロロ-2-アズレニル)ジフェニルホスフィンと (1,3-ジブロモ-2-アズレニル)ジフェニルホ.スフィンを合成し、これらのリン原子を過酸化水素により酸化することで、高原子価状態のホスフィンオキシドへ誘導した。この酸化反応に伴い、顕著な呈色状態の変化(緑から青へ)が観測された。このことは、リンの酸化状態が変化することにより、アズレンのπ電子系に高度なπ分極が誘起されたことを示している。また、(1,3-ジブロモ-2-アズレニル)ジフェニルホスフィンは、有機溶媒中で放置すると、予期せぬ脱プロモ化反応を受け、(1-プロモ-2-アズレニル)ジフェニルボスフィンオキシドへと変化することを見出した。この知見は、2-置換アズレンの新規合成法として展開することができた。さらに、(1,3-ジブロモ-2-アズレニル)ジフェニルボスフィンオキシドと (1-プロモ-2-アズレニル)ジフェニルボスフィンオキシドの固体状態における超分子構造の違いを、X線結晶構造解析によりアズレニル基の分子間相互作用の観点から比較したところ、前者ではhead-to-tail型の π-πスタッキング相互作用が、後者では相補的なCH-Br相互作用が見られた。両者のわずかな分子構造の違いがもたらずこのような結晶構造の顕著な違いは、非交互共役系の電子構造が非常に電子効果を受けやすい特異なπ電子系を示している。
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Research Products
(1 results)