2004 Fiscal Year Annual Research Report
有機コバルト錯体結晶と各種小分子との分子間固相・結晶相光反応
Project/Area Number |
16550046
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
大胡 惠明 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (10016115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 祥生 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教授 (40202725)
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Keywords | 有機コバルト錯体 / 固相光反応 / 異性化 / 酸素挿入 / 結晶格子 / 酸素分子 / 水素分子 / 圧力効果 |
Research Abstract |
先に、平面配位子に嵩高いフェニル基を導入した2-allyloxyethylcobaloxime錯体を空気下可視光を照射すると異性化を伴って酸素が挿入するという予備的な知見が明らかになっていた。 そこで、平面配位子に嵩高いフェニル基を有する各種の2-置換エチルならびに3-置換プロピルコバロキシム錯体を合成し、この固相特異的な、異性化/酸素挿入反応に及ぼす置換基の効果を検討したところ、β位並びにγ位にフェニル基、フェノキシ基などの嵩高くラジカルを安定化するような基が結合している錯体の場合は効率よく上記の異性化を伴った酸素挿入反応が進行し、また、ラジカルを安定化してもその置換基が小さいかCo-C結合を安定化するような性質を持つ(たとえば、CNやCOOMe)場合は異性化してα錯体は生成するが酸素挿入反応の効率はあまり良くないこと、また、ラジカルを安定化する性質を持たない錯体の場合には酸素挿入反応は全く起こらないことが明らかになった。また、キラルな軸配位子をchiral handleとして不斉な結晶格子を構築した場合には不斉選択的な酸素挿入反応が進行することを確認した。 一方、分子の小さな分子状水素の反応の場合、平面配位子の置換基が小さいメチル基の場合でも反応は進行し還元生成物が得られた。この反応では顕著な圧力効果並びに顕著な温度効果が観測された。加圧や加温が結晶格子内への水素分子の進入を促進していると解釈される。ところが、この反応の場合、平面配位子を嵩高いフェニル基を導入すると反応が起こらなくなることが明らかとなった。光照射により発生したアルキルラジカルの近傍に引き抜きやすい水素原子が存在することが本反応の必須条件であることを示唆していると思われる。
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