2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機コバルト錯体結晶と各種小分子との分子間固相・結晶相光反応
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16550046
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Research Institution | Niigata University of Pharmacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
大胡 惠明 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (10016115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 祥生 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教授 (40202725)
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Keywords | 有機コバルト錯体 / 固相光反応 / 異性化 / 不斉選択性 / 結晶格子 / 酸素挿入 / ラジカル反応 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、軸配位子としてピリジンを、平面配位子に嵩高いフェニル基を有する各種の2-置換エチルならびに3-置換プロピルコバロキシム錯体の空気下における固相光反応を検討し、反応に及ぼすアルキル基上の置換基の効果を明らかにした。すなわち、ω位にかさ高くラジカルを安定化し、また、Co-C結合を不安定化する置換基を有するコバロキシム錯体の場合は効率よく異性化を伴った酸素挿入反応が進行し、ラジカルを安定化してもその置換基が、Co-C結合を安定化するような性質を持つ場合には異性化した段階で反応が停止し酸素挿入反応が進みにくいことを明らかにした。 今年度は、まず、(1)アキラルな軸配位子の構造を変えた各種の錯体の反応を検討した結果、反応速度は基本的には反応基周りの反応空間の広さに支配されること、また、ピリジン系軸配位子の場合には、軸配位子の塩基性により制御でき、塩基性が小さいほど反応速度は大きいことを明らかにした。またその理由を結晶構造に基づいて明らかにした。(2)ついで、各種の光学活性軸配位子を配位した3-フェニルプロピル錯体を用いて異性化を伴った酸素挿入反応を検討し、反応生成物をdimethylphenylphosphineで還元しアルコールに導きキラルカラムをもちいたHPLCで不斉選択的反応の可否および不斉選択率を調べた。検討した全ての系で不斉選択的酸素挿入反応が起こることを明らにした。特に、(S)-2-amino-3-methylbutanolを配位した錯体では高い不斉選択率74%eeで(R)-1-Phenylpropanolを生成することがわかった。ラジカル中間体を経由する反応であるにもかかわらずこのような高い不斉選択性がもたらされたことは、注目すべき事実であり、固相反応の優れた特徴ということができる。
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