2005 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性が異なるアミノ酸水溶液中の分子間水素結合構造
Project/Area Number |
16550049
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
亀田 恭男 山形大学, 理学部, 教授 (60202024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼杵 毅 山形大学, 理学部, 教授 (70250909)
天羽 優子 山形大学, 理学部, 助教授 (20363038)
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Keywords | アラニン / 分子間水素結合 / 光学活性 / 水和構造 / 水素結合 / 中性子回折 / 同位体置換法 |
Research Abstract |
アミノ酸分子の光学活性の違いが、水溶液中の分子間水素結合構造の及ぼす影響を明らかにする目的で、1および2.5mol%DL-、L-およびD-アラニン重水溶液に対して、分子動力学計算を行った。その結果、1mol%アラニン重水溶液では、アラニン分子の光学活性の違いによる分子間水素結合構造の差は無かった。一方、飽和濃度に近い2.5mol%アラニン重水溶液では、L-およびD-アラニン溶液中の水分子間水素結合は、L-アラニン溶液中の水分子間水素結合に比較して約1%強い事が明らかになった。この結果は、2.5mol%アラニン重水溶液について既に中性子回折実験により求められた結果と良く一致する。 さらに、DL-およびL-アラニン重水溶液中におけるアラニン分子のカルボキシル基周囲の水和構造に差異があるかどうかを調べる目的で、ATR法による赤外吸収スペクトル測定を行い、アラニン分子内COO^-逆対称伸縮振動バンドの中心波数および半値全幅の濃度依存性を調べた。その結果、カルボキシル基周囲の水和構造には、アラニン分子の光学活性の違いは影響を及ぼしていない事が分かった。 アラニン分子の光学活性の違いがアラニン分子のアミノ基周囲の水和構造に及ぼす影響を解明するために、3mol%DL-およびL-アラニン重水溶液に対して、^<14>N/^<15>N同位体置換法中性子回折実験を実施した。観測されたアミノ基N原子周囲の分布関数G_N(r)には、DL-およびL-アラニン溶液で有意な差が見られた。アラニン分子のアミノ基周囲の最近接水分子数は、DL-アラニン溶液に比較してL-アラニン溶液では減少している事が明らかになった。 濃厚アラニン水溶液中における水分子間0-0部分分布関数に対する、アラニン分子の光学活性の違いが及ぼす影響を調べる目的で、Spring-8に設置されている高エネルギーX線回折装置を用いた実験を年度末に実施する予定である。
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Research Products
(4 results)