2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550052
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Research Institution | KANAZAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
横山 明彦 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (80230655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 孝 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (00019499)
片岡 邦重 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (40252712)
大久保 嘉高 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (70201374)
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Keywords | ガンマ線摂動角相関法 / マビシアニン / カドミウム-117 / 水素イオン濃度依存性 / 銅タンパク質 / 電場勾配 / 金属キレート |
Research Abstract |
ガンマ線摂動角相関(PAC)法は、物質中のプローブ核に加えられる外場の情報を得ることで,その核の属する原子付近の電子状態や物質の構造を探ることができる。この手法は適応される側定試料の状態に制限されることなく液体状態でも超微細場測定が可能である。この特長を生かして近年構造と機能が注目されているタンパク質への適用を考えた。本研究では,溶液中の状態についての情報を得るために生体分子の活性中心での超微細場測定をPAC法で試みた。マビシアニンの変異株(Thr15Ala-Mav)を測定試料に選び,このマビシアニン中の銅の位置にPACプローブ親核である^<117>Cd(半減期2.5h)を入れ,水溶液中のpHに対するマビシアニンの銅活性部位における超微細場測定を行った。この変異型は野生型の15位トレオニンをアラニンに置換したもので酸化還元電位の変動が確認されている。 その結果pH6.0-8.0に対する活性部位の電場勾配V_<zz>は0.43〜1.49×10^<22>V・m^<-2>という値になった。昨年測定された野生型マビシアニンについてpH6.0-8.0に対して1.48〜2.08×10^<22>V・m^<-2>であったのと比較すると,今回の実験値はいずれも低い値になった。また,pH6と7.5の間での電場勾配の急激な変化は同様に見られた。野生型の電場勾配との比較より,変異型に何らかの構造の変化があったと考えられる。さらに詳しくその変化について議論を進めるために,活性部位周りの元素と似ているキレート錯体(キナルジン酸錯体,キノリン-8-カルボン酸錯体,BPHA錯体など5種類の錯体)に関する電場勾配を求める同様の実験を行った。また,PACプローブ核の依存性をみるために^<117>Cd以外にプローブ親核として^<111m>Cdの測定を行った。測定した錯体の電場勾配値はマビシアニンの電場勾配値に比べるとほとんどは低いものであったが、キノリン-8-カルボン酸錯体はマビシアニンに近い値を与えることがわかった。これは配位構造が類似しているためと考えられるが、タンパク質の配位構造を考えるためにもこの配位子について詳しい検討をする必要があると考えられる。
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