2005 Fiscal Year Annual Research Report
高酸化状態の後周期遷移金属ニトリド錯体の生成とその窒素原トランスファ-反応
Project/Area Number |
16550055
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 孝義 大阪大学, 理学研究科, 助手 (80249953)
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Keywords | ニトリド錯体 / 窒素原子挿入反応 / 2-ピリジンチオール / ピリジン-N-イミド / π供与結合 / 1,8-ナフチリジン |
Research Abstract |
2-ピリジンチオラトを含むイリジウム(III)アジド錯体の光反応により、アジド配位子に由来する窒素原子がIr-N(py)結合に挿入して生成する二脚ピアノ椅子型1-イミド-2-チオラト(2-)錯体:Cp^*Ir(1-N-2-Spy)は、イミド窒素上で親電子剤と反応し、空気中で安定な1-イミノ-2-チオラト錯体に変換できることを明らかにした。また、得られた錯体と種々の求核剤との反応を調査し、ホスフィン/ホスファイト類が付加した三脚ピアノ椅子型錯体を生成することも見出した。これらの化合物の構造はX線結晶解析により帰属し、今回得られた新規配位子:1-メチルイミノ-2-ピリジンチオラト(1-NMe-2-Spy^-)が、配位した金属中心の幾何構造に依存してπ電子供与性の有無を変換し得ることを実証した。このことにより、窒素原子挿入により生成した配位子を、金属中心から解離し、さらに種々の誘導体へと変換することにより、新たな含窒素化合物の触媒的合成法を発展する道程を開拓することができた。一方、1-イミド-2-チオラト(2-)錯体にまず求核剤を反応し、ついで親電子剤を加えることで、全く異なる化合物が生成することも発見した。この生成物は、Ir-N結合間に挿入していた窒素原子がIr-S結合間に転移し、2-N(H)Spy^<2->が架橋配位した二核錯体であると思われる。この反応では、Ir(V)ニトリド錯体が中間体として生成していることが推測され、ニトリド錯体の反応性に関する今後の研究の展開において重要な発見である。1,8-ナフチリジンを含むイリジウム(III)錯体に関する研究では、種々の配位様式を持つナフチリジン錯体の合成、単離、結晶および溶存構造の帰属を行い、珍しいヒドリドと1,8-ナフチリジンのダブル架橋二核錯体の合成に成功した。
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Research Products
(6 results)