2004 Fiscal Year Annual Research Report
励起状態の光化学を利用した分子認識と分析化学への応用
Project/Area Number |
16550064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 博 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (00117194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 登 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (00158461)
諸角 達也 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50271713)
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Keywords | アントラセン / 光2量化 / TICT / 蛍光発光 / ポリエーテル / アルカリ土類金属イオン |
Research Abstract |
アントラセンの励起状態を利用して分子認識を行うこととした。2つのアントラセンを錯形成部位であるポリエーテルで結合した分子を、分子設計し、合成を行った。この、試薬を光励起することにより、アントラセンの分子内2量体が効率良く生成した。この2量体は4種類の異性体が考えられるが、実際には立体的に混み合いの少ない3種が生成した。この2量化に際し、アルカリ土類金属イオンを添加すると、この3種の生成比率が変化することがわかった。 この効果を立体的に説明するために、各金属イオンとの錯形成定数を測定した。吸光度や蛍光強度の変化から測定する方法は、測定中に2量化が進行してしまい、測定不可能であった。そこで、錯形成によってNMRスペクトルのピーク位置が変化することを利用して測定を行い、錯形成定数を算出した。その結果、カルシウムイオンがもっとも安定な錯体を生成することがわかった。また、錯体などのNMRのケミカルシフトを解析した結果、環電流の効果の大きさから錯体の構造を推定することが出来た。カルシウムイオンとの錯体が、2量化にもっとも適した配座をとることが示唆された。この2量体のうち、1つの錯体は、分子不斉を持つので、不斉分子に対する、分子認識試薬としての利用が期待される。 一方、予備的な研究として、ポリエーテルを持つピレンの芳香族アミド体を合成し、錯形成による蛍光スペクトルの変化を測定した。その結果、freeの試薬ではほとんど蛍光発光を示さないが、アルカリ土類金属イオンとの錯形成により、大きな蛍光発光を示すことがわかった。これは、分子内のTICTの効率が、錯形成によって、抑制されたものと考えられる。
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Research Products
(3 results)