2005 Fiscal Year Annual Research Report
励起状態の光化学を利用した分子認識と分析化学への応用
Project/Area Number |
16550064
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 博 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (00117194)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 登 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教授 (00158461)
諸角 達也 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50271713)
|
Keywords | アントラセン / ナフタレン / TICT / 蛍光発光 / ポリエーテル / アルカリ土類金属イオン |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、アントラセンを蛍光発光中心とする分子認識試薬の開発を継続して行った。昨年度行った、アミド結合を介してベンゼン環に2個のアントラセンを導入した化合物がカルシウムイオンとの結合で、蛍光が発することが、アントラセン環同士の相互作用ではないことを証明するために、アントラセンを1個だけ導入した化合物を合成した。これについて、蛍光スペクトルを測定し、アルカリ土類金属イオンとの錯形成定数とスペクトルの変化について測定を行った。その中で、アントラセンの2位を導入した試薬では、錯形成定数も大きな値を示し、また蛍光の増加率も40倍となり、効果的な試薬であることがわかった。 一方、アントラセン以外の発色団についても検討を行った。ピレンを導入した化合物では、錯形成に伴う蛍光強度の増加は見られたが、数倍程度の増加にとどまった。フェナントレンやフルオレンを導入した場合は全体的に発光が少なく、錯形成による蛍光増加も小さかった。これは、TICTがうまく働かないか、酸化還元電位の関係で電子移動消光が防げないためと考えられる。 ナフタレンを導入したベンゼンアミド誘導体も合成した。この化合物の特長は、ナフタレンとアミド結合の間にメチレン鎖が入っているためにTICTが働かないはずであるが、実際には、試薬のみの時にはほとんど蛍光発光を示さず、一方、カルシウムイオンに対しては43倍の蛍光強度の増加を示した。また、錯形成定数も10^6以上であり、非常に安定な錯体を形成することがわかった。これらの実験結果を説明することが現在は出来ないので、今後、溶媒の粘性や誘電率の効果を測定して解明する予定である。
|
Research Products
(2 results)