2004 Fiscal Year Annual Research Report
走査型電気化学顕微鏡による生体膜モデル油水界面での電子移動反応の研究
Project/Area Number |
16550073
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大堺 利行 神戸大学, 理学部, 助教授 (00194118)
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Keywords | 油水界面 / 電子移動 / 走査型電気化学顕微鏡 / 抗酸化剤 / ボルフィリン錯体 / 速度論 / 反応機構 / 反応層 |
Research Abstract |
油水界面電子移動は,生体膜における電子伝達系や,ビタミンCとビタミンEの共役的抗酸化作用などのメカニズムを理解する上で,最も単純なモデル反応系として有用である.本研究では,走査型電気化学顕微鏡(Scanning ElectroChemical Microscopy;SECM)を新たに導入し,生体関連物分子の油水界面電子移動の反応機構の解明を試みた. ニトロベンゼン/水界面およびベンゼン/水界面におけるビタミンC(アスコルビン酸;AsA)またはクロロゲン酸(CHL)と亜鉛テトラフェニルポリフィリン錯体のラジカルカチオン(ZnTPP^<・+>)との電子移動反応について,SECMによって速度論的研究を行った.測定された油水界面での見かけの電子移動の速度定数(k_fは,抗酸化剤がAsAでもCHLでも,また用いた油相溶媒にもよらず,水相中の抗酸化剤の濃度の平方根(c^w)に比例する結果を示した.この依存性は,油水界面での1分子の抗酸化剤と2分子のZnTPP^<・+>とのheterogeneousな電子移動反応では説明しにくい.そこで.抗酸化剤が一部油相へ分配し,油相中でZnTPP^<・+>とhomogeneousな電子移動反応を行う反応機構の可能性を検討した.油相側の界面近傍に電子移動反応が起こる均一な反応層を仮定し,その電子移動反応が2ステップの2電子反応(2電子目が律速>とすると,k_fの(c^w)^<1/2>に対する一次の依存性をうまく説明することができた. 上記の天然抗酸化剤とポルフィリン錯体との油水界面電子移動反応は,水素イオン(プロトン)の移動が関与し,また標準酸化還元電位が非常に大きいため,通常のボルタンメトリーによる測定が行えない系である.しかし,SECMを導入したことにより,複雑な生体関連分子による油水界面電子移動反応が研究できることが示された.
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Research Products
(7 results)