2004 Fiscal Year Annual Research Report
特異的イオン認識能をもつ複合配位子の創製と分離分析化学への新展開
Project/Area Number |
16550074
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
姫野 貞之 神戸大学, 理学部, 教授 (30031363)
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Keywords | ポリオキソメタレート / 特異的イオン認識 / 分離分析化学 |
Research Abstract |
ポリオキソメタレート錯体は、有機試薬と金属イオンとの配位結合による通常の錯生成と異なり、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオンなどの高原子価の遷移金属イオンと異種イオン種とが酸素原子を共有し縮重合することにより生成する。本研究では、特異的イオン認識能をもつモリブデン酸(VI)-タングステン酸(VI)-バナジン酸(V)複合配位子の創製およびポリオキソメタレート生成に基づく分離分析化学の新たな展開を目指している。 複合型配位子によるポリオキソメタレート生成反応の基礎検討として、タングステン酸イオンと硫酸イオンとの反応を検討した。タングステン酸イオン単独ではドーソン型[S_2W_<18>O_<62>]^<4->錯体が生成するのに対し、タングステン酸(VI)-バナジン酸(V)複合配位子ではケギン構造を有する錯体種が生成することを見出した。 また、ケギンアニオンのボルタンメトリック酸化還元機構を詳細に検討した。12種類のケギン錯体を新たに合成し、H^+を含むアセトニトリルなどの有機溶媒中で1電子酸化還元波から2電子酸化還元波への変換機構をデジタルシミュレーションにより解析した。その結果、2電子還元体へのプロトン化定数logK_2が1電子還元体へのプロトン化定数logK_1よりも10以上大きいとき1電子酸化還元波から2電子酸化還元波への変換が起きることが明らかになった。また、混合溶媒中でのLi^+への選択的溶媒和の程度により1電子波から多電子波までの酸化還元挙動をコントロールできることを示した。 さらに、複合配位子による各種酸素酸イオンの高感度キャピラリー電気泳動分析法への応用研究を進めている。現在、分析対象イオンを拡大し、分離分析化学の新たな展開を目指している。
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Research Products
(3 results)