2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子レセプター修飾カーボンナノチューブに基づいた化学センサとバイオセンサの研究
Project/Area Number |
16550082
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
八尾 俊男 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50081310)
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Keywords | カーボンナノチューブ / バイオセンサ / 化学センサ |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(NT)は1991年に発見された新しい炭素の同素体である。本研究では多層NTを用い、NTを電極基板に固定化する方法として、種々の検討の結果、2-プロパノールに分散したNT溶液へのディプコーティング法とゾルーゲルシリケート薄膜への包括固定化法を選び、化学的及び物理的に安定なNT修飾電極を開発した。この修飾電極を用いてカテコールとビスフェノールA及びクレゾール幾何異性体に対する電気化学的挙動について調べた結果、NTはこれら化合物に対して高い電極触媒機能と孔内部の増幅された疎水的性質により濃縮機能を発現し、グラファイトや他の固体電極では見られない特異的な性質を示した。次に、電極表面に固定化したNTに酵素を固定化した新規なNTバイオセンサの構築を目指した。分子量の異なる種々の酵素を選択し、その違いによるセンサ感度の安定性への影響を比較検討した。また、強酸の加熱処理によりNTの先端部にカルボキシル基を導入し、カルボジイミド化合物を架橋剤として酵素を固定化したバイオセンサについても同様の検討を行った。 1.NTへの酵素の吸着固定化 分子量は異なるが同じ活性中心を持つ西洋ワサビ起源ペルオキシダーゼ(HRP:分子量=44,000)とマイクロペルオキシダーゼ11(MP-11:分子量=1,861)を選択した。過酸化水素に対して、HRPセンサでは0.002〜10μMの濃度範囲で、MP-11センサでは0.02〜5mMの濃度範囲で濃度に比例する応答を与えた。しかし、安定性には大きな差が認められ、MP-11センサでは酵素分子がNT孔内部に吸着固定化されていることがわかった。 2.NT先端への酵素の固定化 カルボジイミド反応を経てビオチン標識酵素(グルコースオキシダーゼ)を結合し、さらにアビジンを挟んでビオチン標識酵素を層状に固定化したセンサでは、層の数に比例した大きさの応答を与えた。 さらに分子レセプター機能をハイブリッド化したセンサについても検討している。
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Research Products
(5 results)