2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550094
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大澤 力 富山大学, 理学部, 助教授 (60213683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高安 紀 富山大学, 理学部, 教授 (40019188)
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Keywords | 酒石酸 / 修飾ニッケル触媒 / 立体区別固体触媒 / 表面被覆率 / 修飾剤 |
Research Abstract |
光学活性物質で修飾した固体触媒による立体区別反応は,医薬品・農薬の中間体・キラルシントンとして重要である.これらを得るため,従来天然物からの抽出,光学分割,均一系触媒を用いた反応が行われてきた.これらの方法は,天然に存在する立体配置のものしか得られない,触媒の調製が複雑高価であり,触媒の生成物からの分離が容易でない,などの欠点を持ち必ずしも社会的な要請に答えられるものではない.一方,光学活性物質で修飾した固体触媒による立体区別反応は上記欠点を克服でき,工業的規模での合成に適した方法である.本研究は酒石酸修飾ニッケル触媒を用いたアセト酢酸メチルの立体区別水素化において,触媒表面上の酒石酸・臭素イオンの吸着量を正確に制御することにより完全な立体選択性を得る事を目的とするものである. 本年度はイオンクロマトグラフを用いて,触媒表面上の酒石酸・臭化物イオンの定量を行い,触媒調製条件と吸着物質の量・エナンチオ選択性との関係の検討を試みた.まずニッケル触媒表面上に吸着した酒石酸と臭化物イオンの定量方法を確立した.吸着酒石酸は1MNaOH水溶液で溶出後溶液をそのままイオンクロマトグラフで定量可能であった.しかしながら,吸着臭化物イオンはニッケル表面から溶出させることが困難で,ニッケル触媒を硝酸で溶解する必要があった.多量のニッケルイオン存在下での臭化物イオンの定量はニッケルイオンが溶離液と沈殿性の塩を形成するためそのままでは測定が困難であった.固相抽出カラムにてニッケルイオンを除くことを行った. 有機溶媒中大気圧下あるいは高温高水素圧下で修飾した触媒における酒石酸と臭化物イオンの吸着量とエナンチオ選択性との関係を検討した.高温高水素圧下で調製した触媒は大気圧下でのものよりエナンチオ選択性,耐久性ともに高かった.高温高水素圧下で調製した触媒は酒石酸:0.7mg/g cat, Br:0.6mg/g catが表面に吸着しており,大気圧下で修飾した場合よりも若干少ない量であった.今後触媒の表面積の測定を行い,種々の触媒調製条件下でのそれぞれの吸着種の表面被覆率を指標にエナンチオ選択性との関係を検討する予定である.
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