2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550096
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生越 専介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30252589)
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Keywords | ニッケル / 酸化的環化 / カルボニル基 / アルケン / アルキン / 有機アルミ化合物 |
Research Abstract |
アルキル亜鉛や有機ホウ素化合物存在下、カルボニル化合物とジエン、アルキン、アレン類との多成分カップリング反応が、ニッケル触媒存在下効率よく進行することが報告されている。これらの触媒反応においては、いずれもニッケル上でのカルボニル基と炭素-炭素不飽和結合の酸化的環化が重要な鍵過程として提案されている。しかしながら、実際にニッケル錯体を単離して検討されたことはなかった。そこで、昨年度は原子半径が小さく還元力の高いニッケル上にアルデヒド、アルケンを同時に配位させた錯体からの酸化的環化反応を実現した。本年度は、前年度の知見をもとにアルケンとケトン類との酸化的環化に取り組んだ。 ケトン類はアルデヒドとは異なり反応性が低くなるために同様の手法を用いるだけではケトン類との酸化的環化を実現することはできない。そこで有機アルミ化合物であるトリメチルアルミニウムを添加しケトン類の反応性を向上させて酸化的環化を実現しさらには、本環化反応を触媒反応へと展開した。これはアルケンとカルボニル化合物を用いたはじめての多成分カップリング反応である。また、酸化的環化錯体にはトリメチルアルミニウムが取り込まれた形となっていた。さらに、X線結晶構造解析で明らかになった分子構造ではアルミニウム上のメチル基がニッケルに架橋していることが分かった。これは極めて珍しい構造をしており、現在広く研究されているカップリング反応の鍵中間体としても高く評価されるものである。
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Research Products
(2 results)