2005 Fiscal Year Annual Research Report
コバルト錯体を活用する生体類似型電解反応の開発とその応用
Project/Area Number |
16550104
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Research Institution | Toyama National College of Technology |
Principal Investigator |
川淵 浩之 富山工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (20195134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 勉 岡山大学, 工学部・生物機能工学科, 助教授 (50168473)
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Keywords | コバルト錯体 / 電解反応 / 亜鉛電極 / O-アルキルオキシム / β-アミノアセタール / ラジカル環化反応 / コバロキシム / マンニッヒ塩基 |
Research Abstract |
コバルト錯体反応性電極系を用いて、O-アルキルオキシムへのラジカル付加によるβ-アミノカルボニル化合物、すなわちマンニッヒ塩基の新規合成法の開発を目的として行った。α-ブロモアセタール基を持つO-アルキルオキシムを原料として、電解系で調製した求核性の高いCo(I)錯体と反応させ、炭素ラジカル中間体を経由する2-アルコキシ-3-アルキル-4-アミノテトラヒドロフラン誘導体への電解ラジカル環化反応を検討した。まず、コバルト錯体反応性電極系の最適条件を検討した。コバルト錯体をコバロキシムに固定して精査した結果、電極材料(陽陰極とも亜鉛電極)、コバロキシム量(5〜20mol%)、電圧(3V)、溶媒(MeOH)、電解質(Et4NOTs)、添加物(40%NaOH)、反応温度(室温)、電気量(4〜10F/mol)が最適であった。また、種々のコバルト錯体を精査した結果、コバロキシムが最適であった。本電解反応を種々α-ブロモアセタール基を持つO-アルキルオキシム誘導体に適用したところ、一般性がみられ、β-アミノアセタールの新規合成法として確立できた。このことから、マンニッヒ塩基や修飾ヌクレオシド化合物の合成に応用可能となった。バッチ式電解でのスケールアップも検討した結果、グラムスケールまで反応の適応が認められたものの、収率向上のための条件の最適化が必要であった。さらに、炭素-炭素結合形成反応の応用として、ハロアセタールのラジカル環化を鍵とした連続的3成分連結反応(α-ブロモアセタール基を持つアセチレン誘導体とベンズアルデヒドとのラジカル環化と付加反応を同時に行う反応)を試みた。コバルト錯体として(Co(III)N4Cl2)ClO4を用いて、陽陰極とも亜鉛電極、電圧(1.5V)、溶媒(DMF)、電解質(Et4NOTs)、反応温度(0℃)で行ったところ、目的の連続的3成分連結反応生成物を収率37%、アセチレン誘導体の単純環化物を収率30%で得た。また、炭素ラジカルをTEMPOで捕捉した分子の特異的な反応性についても知見を得た。
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Research Products
(2 results)