2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16550122
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
本吉谷 二郎 信州大学, 繊維学部, 助教授 (60126711)
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Keywords | 化学発光 / 過シュウ酸エステル化学発光 / 界面活性剤 / ジスチリルベンゼン / 蛍光 / 電子移動消光 |
Research Abstract |
有機化学発光反応では発光種として種々の蛍光剤が用いられるが、そのうち合成も容易で置換基の工夫によって様々な発光色調を呈することができるジスチリルベンゼン誘導体を用いる過シュウ酸エステル化学発光ならびにこの蛍光剤の蛍光特性について検討した。 ジスチリルベンゼンを蛍光剤とした過シュウ酸エステル化学発光では、界面活性剤の添加によりその発光効率に変化が観測された。特にイオン性界面活性剤の種類により発光量の増減が観測されたことから、高エネルギー中間体と蛍光剤との相互作用に関する重要な知見が得られた。 一方、蛍光性ジスチリルベンゼンの光化学的挙動について詳しく調べたところ、それらが置かれる化学的環境で興味ある蛍光特性を示した。即ち、強力な電子供与性置換基を有するジスチリルベンゼンでは、有機塩素化合物やニトロ化合物など、電子受容能の高い化合物の相互作用によって顕著な蛍光消光を示すことが明らかとなった。これらの化合物は、それぞれ農薬残留物あるいは爆薬の原料となる化合物でこれらの蛍光法あるいは化学発光法による検出の応用へと期待される成果である。また、電子供与性置換基と吸引性置換基を有するものについてはプロトン性溶媒の存在下で蛍光消光を示すことが明かとなった。このことにより、直接プロトン供与能力を測定できないものについてもこの蛍光剤の消光程度を測定することによりpKaを見積もることが可能となった。また、消光剤の電子受容能力と蛍光消光率の関係を検討することにより、この消光過程は電子移動を含むことが強く指示された。 これら蛍光性化合物の特異な性質を利用することによって化学発光による化学的環境評価への応用の可能性を提示することができた。
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Research Products
(3 results)