2005 Fiscal Year Annual Research Report
立体特異的フォトクロミック反応を行うチオフェノファン-1-エン類の開発
Project/Area Number |
16550126
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
竹下 道範 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (40274534)
|
Keywords | フォトクロミズム / 光メモリー / シクロファン / 光学活性 / 分子機械 / ジァリールエテン |
Research Abstract |
本年度は、立体特異的フォトクロミック反応をおこなうメタシクロファン-1-エン類として、[2.n]チオフェノファン-1-エン、ジチアジチエニルエテノファン、[2.2]メタシクロファン-1-エン誘導体の合成とフォトクロミズムの評価を行った。[2.n]チオフェノファン-1-エンは、ジチエニルエテンをポリエーテルで架橋したもので、分子設計、合成をおこなった。得られた[2.n]チオフェノファン-1-エンは、遷移金属(特に亜鉛イオン)との錯形成を光可逆的におこなうことを見いだした(未発表)。この化合物は光学活性を有するので、立体特異的フォトクロミック反応を今後検討する予定である。一方、ジチアジチエニルエテノファンは、ジチエニルエテンをベンゼン環で架橋した化合物であり、その架橋位置によって光閉環反応の量子収率と光異性体の熱安定性が異なることを見いだした。これは、似たような構造のフォトクロミック化合物で、反応効率や熱安定性を自由にコントロールことを見いだした、初めての例である。また、溶液中においても、反応点間の距離が光閉環反応の量子収率に反映されることを見いだしたことは、今後のフォトクロミック化合物の設計上、有用な知見が得られたと言える。[2.2]メタシクロファン-1-エンについては、いままで誘導体合成が困難であったが、保護基として用いたtert-ブチル基の置換が可能となったため、アセチル誘導体の合成をおこなった。この化合物は、マクマリー反応などでn量体を合成する中間体となり得ることから、今後、光スイッチ機能を持った共役ポリマーなどへ応用する予定である。
|
Research Products
(2 results)