2006 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素を用いた新しい機能高分子薄膜の合成と性質
Project/Area Number |
16550128
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
湯浅 真 東京理科大学, 理工学部, 教授 (40192801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柳津 研一 東京理科大学, 総合研究機構, 助教授 (90277822)
村田 英則 東京理科大学, 理工学部, 助手 (50367075)
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / 電解重合 / ポリチオフェン / ポルフィリン / 薄膜 / センサー / 助溶媒 / 導電性 |
Research Abstract |
ナノレベルで集積した緻密かつ平坦な機能高分子薄膜を作製するため、超臨界二酸化炭素環境下における電解重合を、独自に工夫した反応装置を活用し実施する。ポリ(チオフリルポルフィリン)誘導体を対象に、斬新な多重応答性センサーを目指した研究を推進する。具体的には、物質拡散が常温・常圧環境下よりも1000倍程度大きい超臨界環境下において、チオフェン、ピロール、アニリンおよびそれらの誘導体の電解酸化重合を系統的に行い、ナノレベルで緻密かつ平坦な高分子薄膜を、次世代ナノ集積材料の一つとして精密重合することを目的とする。さらに、各種の薄膜物性(膜圧、表面形態、表面粗さ、電気伝導特性、レドックス特性、エレクトロクロミズム性、誘電特性など)を詳細に評価し、代表者ら独自の発想による多重応答型バイオセンサーへの応用へと繋げていく。テトラキスチオフリルポルフィリンのようなチオフェン誘導体、テトラキスピロリルポルフィリンのようなピロール誘導体を配向制御して極めて薄く均質に成型した高分子薄膜を作用電極とする、活性酸素種センサーの特性解明とその具体的産業への波及について検討する。本年度は、以下の成果が得られた。 1.バイオセンサーの作製と性能試験 超臨界二酸化炭素環境下における電解重合によって合成されたポルフィリン薄膜を用いて、活性酸素種(特にスーパーオキシドアニオンO_2^-)や一酸化窒素の同時検出用センサー材料としての性質を解明した。具体的には、側面を絶縁保護したファイバー電極(数十μm径)の底面に、超臨界環境下での電解重合により機能性薄膜を作製し、ついでファイバーの周囲を対極が取囲む形の一体型微小電極を工夫した。電極材料や絶縁被覆材料について系統的に検討し、基質の酸化電流を安定度高く取り出すことのできる構造を明らかにした。 2.バイオセンサーの実用試験 生体内でのシグナル伝達や恒常性維持に重要な役割を果たしているO_2^<-・>やNOを検出対象として、作製したバイオセンサーを実地に生体に挿入してこれらの濃度をリアルタイムで検出し、各種病態との相関を解明した。本研究により得られる多重バイオセンサーを用いて、活性酸素に関してこれまで予測されてきた生化学的意義を、初めて定量的に明らかにした。具体的には、化学合成された安定物質である検出部位が、超臨界重合法による緻密で再現性の高い均質膜に複合された薄膜を対象に、検出基質の膜内拡散や電位勾配などの基礎データを踏まえ、バイオセンサーとして最適の電極構造を構築した。
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Research Products
(3 results)