2004 Fiscal Year Annual Research Report
親水性陰イオンの脱水和を促進する官能基を有するイオン交換樹脂の開発研究
Project/Area Number |
16550135
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯地 昭夫 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (60144193)
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Keywords | イオン交換樹脂 / 脱水和 / 共吸着 / 陰イオン / 水和数 / 陽イオン |
Research Abstract |
1.一連の陰イオンを陰イオン交換樹脂(I型)上に捕捉して水和数を測定したところ,脱水和のエネルギーが大きいものほど多くの水を伴っていることを見出した.しかしながら,脱水和のエネルギーが400kJ/molを越えると水和数は3-4に収束した.一方,メチル基の一つがヒドロキシエチル基に置き換わった陰イオン交換樹脂(H型)上での水和数は,上述の樹脂と比較して僅かに少なかったが,リン酸二水素イオンだけは著しく脱水していた.リン酸二水素イオンとヒドロキシエチル基との間の水素結合のために,脱水和が促進されることが明らかとなった. これらの選択係数は脱水和エネルギーと良い相関性を示したが,400kJ/molを越えると一定値に漸近した.II型のリン酸二水素イオンはこの相関性から期待されるよりも大きい選択係数を示し,上述の水素結合およびそれによる脱水和の促進が吸着選択性を向上させることを見出した. 弱塩基性の陰イオン交換樹脂(WBA型)についても測定を行ったところ,同様にリン酸二水素イオンは著しく脱水しており,これに対応して吸着選択性も向上した. 以上の知見を基にして,ヒドロキシエチル基を二つ導入した新規の弱イオン交換樹脂を合成し,その性能を評価した結果,上記のいずれよりも優れたリン酸選択性が観測された. 2.これらの研究を補完する意味で,一連の陽イオンを強および弱酸性陽イオン交換樹脂に捕捉して,水和数を測定したところ,強酸性型ではいくつかの例外を除いてアクアイオンとして吸着するのに対して,弱酸性型ではかなりの脱水和が起こることを明らかにした. 3.また,Feイオンの吸着に当たってある種の陰イオンが共吸着することを実験的に明らかにすると共に,Feイオンを架橋する能力を有する陰イオンが特に吸着されやすく,水和を含めて樹脂中でかなり配位不飽和になっていることを見出した. 上記の知見に対して,現在3編の論文が投稿中あるいは執筆中である.
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Research Products
(4 results)