2004 Fiscal Year Annual Research Report
フルオロ基及びペルフルオロアルキル基をもつヘムの合成とNMRプローブへの応用
Project/Area Number |
16550153
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 秋弘 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (60179190)
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Keywords | フッ素 / ポルフィリン / ヘム / ヘムタンパク質 / NMR |
Research Abstract |
本研究では、酵素をはじめとするヘムタンパク質の機能特異性を構造との関係から明らかにする目的で、補欠分子であるヘムへMRプローブとなるフッ素置換基を原料ピロール段階で導入する方法を種々検討した。また、これまでに得られたフッ素化ヘムを用いた^<19>F-NMR測定を行った。 新規フッ素化ヘムの合成(ピロール段階でのフッ素基の導入について): 1.モノフルオロ基(-F)が置換したヘムの原料となるフッ素置換ピロールの効率的な合成条件を明らかにした。 2.ピロールに2つのモノフルオロ基が置換したフッ素化ピロールの合成方法を種々検討した。 3.トリフルオロメチル基(-CF_3)が置換したヘムの原料となるフッ素置換ピロールの合成を行ったが、ピロール環にトリフルオロメチル基とエチルエステルの共存下では、エステルの加水分解条件でトリフルオロメチル基も加水分解することが判明し、α位のエチルエステルをベンジルエステルに変換したフッ素置換ピロールの合成が必要となり、その合成方法について検討した。 4.さらに、トリフルオロメチル基を含み、ピロール環の残るβ位がフリーH基のフッ素置換ピロールの合成を行った。 5.ピロールβ位が2つともフリーH基のピロールを合成し、これまでのジアゾフッ素化の手法でモノフルオロ基の導入を試みたが、アミノ化が進行せず目的物は得られなかった。 ^<19>F-NMR測定による物性評価: 1.一般的に化学シフト異方性による緩和の寄与がフッ素の緩和に対して支配的であるため、分子運動が遅くなるほど、また磁場強度が高くなるほど化学シフト異方性の影響は大きくなり、シグナルの線幅は増大する。そこで、導入したフッ素基の化学シフト異方性の寄与を見積もる方法としてモデル分子の分子軌道計算を行った。 2.分子軌道計算と対応して、これまでに合成した7-PF,2-MFヘムの^<19>F-NMR測定を行った。 3.以上の結果から、高分子量(10万以上)のタンパク質においても、^<19>F-NMR測定により、^<19>F核シグナルは観測可能であり、構造解析にも適用できることが明らかになった。
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