2005 Fiscal Year Annual Research Report
フルオロ基及びペルフルオロアルキル基をもつヘムの合成とNMRプローブへの応用
Project/Area Number |
16550153
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 秋弘 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (60179190)
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Keywords | フッ素 / ポルフィリン / ヘム / ヘムタンパク / NMR |
Research Abstract |
本研究では、酵素をはじめヘムタンパク質の機能特異性を構造との関係から明らかにする目的で、NMRプローブとなる補欠分子ヘムへのフッ素置換基(F基、CF_3基など)の位置特異的導入を検討した。そして、得られたフッ素化ポルフィリン、ヘムのUV-vis、^<19>F-NMR等の測定を行った。 フッ素化ピロール、ポルフィリン、ヘムの合成 1.ピロールβ位に2つのモノフルオロ基(-F)が置換したフッ素化ピロールの合成条件を確立し、ポルフィリンの前駆体となるジピロメテンを合成するために、種々のピロールとのカップリングを行った。 2.β位に2つのモノフルオロ基をもつピロール同士のカップリングは成功しなかったが、β位に1つのモノフルオロ基をもつピロールとのカップリンは成功し、合計3つのモノフルオロ基をもつジピロメテンを得た。 3.前年度は成功しなかった、トリフルオロメチル基(-CF_3)をもつピロールの化学修飾反応の条件を種々検討して、対称な位置にトリフルオロメチル基が置換したジピロメタンの合成に成功した。 4.得られた2つのトリフルオロメチル基を対称な位置にもつジピロメタンを元に、新規化合物となるトリフルオロメチル基が2つ対称な位置に置換したポルフィリンの合成に成功した。(2,8-DPFポルフィリン) 5.得られた2つのトリフルオロメチル基を対称な位置にもつポルフィリンへの鉄の挿入、プロピオン酸メチル基の加水分解反応は通常のポルフィリンと同様の反応性で進行した。 新規フッ素化ポルフィリン、ヘムの物理化学測定 1.2,8-DPFポルフィリンの紫外・可視吸収スペクトルはトリフルオロメチル基が1つだけ置換したポルフィリンの吸収パターン(ロド型)とは異なり、エチオ型の吸収パターンを示した。 2.2,8-DPFポルフィリン、ヘムの^<19>F-NMRは、1本のシグナルしか観測されないことから、2つのトリフルオロメチル基が予想通り対称な位置に存在することが明らかになった。
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