2004 Fiscal Year Annual Research Report
フレネル理論の展開による有機EL素子の高効率化の研究
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16550158
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
三上 明義 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70319036)
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Keywords | エレクトロルミネッセンス / 有機EL / ディスプレイ / フレネル理論 / 色変換方式 / 光取出し効率 / 外部量子効率 / 光学シミュレーション |
Research Abstract |
初年度は申請した実施計画書に従い,[課題1]高分子/低分子複合型有機ELの高効率化、および[課題2]多層構造有機EL用の光学解析ソフトの開発を重点的に検討した。得られた知見および成果は以下のようである。 [課題1]最も開発が遅れている青色ELの高効率化を目的とし、α-NPD(Bis[N-(1-naphthyl)-N-pheny]benzidine)発光材料の採用、陰極構造およびキャリアブロック層の電気的な構造設計、後述する解析ソフトに基づく光学的な構造設計を行った。その結果、α-NPD(低分子)の陽極側にPVK(高分子)を配置した複合構造の導入により発光効率が2〜3倍に向上し、視感効率3.7-1m/W、外部量子効率6.0%、色度座標(0.15,0.08)の高色純度で高効率な青色発光が得られた。この結果は高色純度な青色ELとしては世界最高値であり、蛍光有機材料の理論限界に相当する。更に、この青色有機ELを独自の横伝搬型色変換構造(特許出願済み)に組み入れた白色有機ELを試作し、外部量子効率8.9%の高効率が得られている。 [課題2]有機EL用の光学解析ソフトは未だ市販されていない。開発には解析速度と実用性を重視し、フレネル理論をベースにして特性伝達関数の行列計算を組合わせた独自のアルゴリズムを用いた。解析対象は輝度、発光スペクトル、光取出し効率、角度特性であり、[課題1]で述べた青色ELの実測結果と合致する理論結果が得られている。同ソフトは既に幾つかの企業で導入テストを検討して頂いている。 以上、今年度の研究成果は、(1)理論限界に達する高効率高色純度の青色ELの開発、(2)独自の色変換方式の採用による理論限界を超える白色発光の実証、(3)有機ELシミュレーションソフトの開発と実証である。来年度は申請計画に従い、(1)燐光有機材料を導入した更なる高効率化、(2)導波理論を組合わせた光学解析の高精度化に取り組む予定である。
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Research Products
(7 results)