2005 Fiscal Year Annual Research Report
希土類金属錯体を焼結助剤前駆体とする高熱伝導率窒化ケイ素セラミックスの開発研究
Project/Area Number |
16550159
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
北山 幹人 福岡工業大学, 工学部, 教授 (10330945)
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Keywords | 窒化ケイ素 / 熱伝導率 / 焼結助剤 / 希土類金属錯体 / 前駆体 / 固溶酸素 / 粒界相 / 相転移 |
Research Abstract |
1.希土類金属錯体の合成 昨年度は配位子としてエチレンジアミン(ED)を選択し、配位子自体を溶媒として無水塩化イットリウムと直接反応させることにより[Y(ED)_3]Cl_3を合成したが、得られた錯体は極めて吸湿性が高いため、窒化ケイ素粉体と混合する間に相当量が水酸化物に分解した。本年度は、溶媒としてアセトニトリルを用い、化学量論のEDを添加することにより錯体を合成した。赤外吸収スペクトルにより、溶媒のアセトニトリルはイットリウムに配位しないことが分かった。窒化ケイ素と焼結助剤の混合粉体をアセトニトリルに分散後、EDを添加し溶媒を除去することにより、[Y(ED)_3]Cl_3を均一に分散した混合粉を得た。 2.希土類金属錯体を脱酸素焼結助剤として用いた窒化ケイ素焼結体の作成と評価 昨年度、焼結助剤としてMgOとYb_2O_3をそれぞれ3.5mol%添加した系と、MgOのみを7mol%添加した系に、脱酸素焼結助剤である希土類金属錯体[Y(ED)_3]Cl_3を添加して得られた焼結体の相対密度はすべて60%前後であり、極めてポーラスであることが確認された。そこで、本年度は、さらに焼結助剤の最適化を図った。Si_3N_4:Nd_2O_3:Yb_2O_3=90:5:5の割合で1850℃-4hでほぼ理論密度に到達することを確認した。本組成で、Si_3N_4に含まれる不純物酸素量に相当する希土類金属錯体量、その1/2量、1/4量を添加して1850℃-2〜8h焼結したが、昨年度と同様、焼結体の相対密度はすべて60%前後であり、熱伝導率は30〜40W/m・K程度と低い値であった。しかしながら、Maxwellの式で推定した緻密体の熱伝導率は80W/m・K以上であり、脱酸素焼結助剤を添加しない場合の72W/m・Kよりも高い値であった。来年度は、焼結助剤のさらなる最適化、及び、HPを用いることにより、緻密体の熱伝導率を測定する。
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Research Products
(2 results)