2005 Fiscal Year Annual Research Report
排ガス浄化性能を有する複合酸化物の合成と構造制御の研究
Project/Area Number |
16550167
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小澤 正邦 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30252315)
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Keywords | 自動車排ガス浄化 / 酸素貯蔵能 / セリア / ジルコニア / 微粒子 / セラミックス / 希土類 / 触媒 |
Research Abstract |
セリアおよびセリアジルコニアは自動車排ガス触媒の酸素分圧制御および触媒反応制御において、酸素貯蔵能と呼ばれる、固体化学物性に起因する、特異な機能を発現する。セリアジルコニア系の有効性は1987年(小澤ら)に見出され、実用化にいたったが、その材料改良は引き続きなされており、現在でもなお新材料開発の対象となっている。また、最近では、いわゆる3元触媒だけでなく、ディーゼルエンジンへの応用も試みられている。酸素貯蔵能作用を前提とした応用研究に巨額資金が助成されるなかで、固体物性からの基礎研究は国内では少なく、そのため本研究では、材料合成提案を含めた無機固体化学の観点からの基礎研究を志向した。まず、セリアおよびセリウム・ジルコニウム系複合酸化物のナノオーダー粒子の合成方法について検討し、さまざまな沈殿法の組み合わせによる複合組成化に成功した。この微粒子の熱的変化の把握、とくに酸化反応時の還元性および相生成を熱重量分析およびX線回折によって行った。実条件である高温および低温還元酸化サイクル時における可逆性を発現する良好な酸素放出吸収特性を観測した。さらに昇温還元法によればセリウム系酸化物の微粒子状態において、金属酸化物を生成する低温プロセスを適用した複合酸化物で高い酸素貯蔵能を発現した。また、微粒子のシンタリング挙動について調べ、セリアよりセリウム・ジルコニウム系複合酸化物において高温での微粒子保持性にすぐれており、これが実用上の観点からは重要であることを明らかにした。さらに酸素貯蔵能の高温での性能向上に重要な酸素緩和速度をモデル組成の擬弾性を利用して調べたところ組成混合による欠陥のクラスター化を示唆する知見が得られた。また、研究の応用展開をも試み排ガス浄化用触媒化技術も検討した。
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