2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体上に担持された貴金属クラスター表面からの光誘導-還元的硫黄脱着に関する研究
Project/Area Number |
16550169
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
多田 弘明 近畿大学, 理工学部, 教授 (60298990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 征司郎 近畿大学, 理工学部, 教授 (40088448)
岩崎 光伸 近畿大学, 理工学部, 講師 (20278740)
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Keywords | 金ナノ粒子 / 白金ナノ粒子 / 半導体 / 触媒 / 硫黄被毒 / 光クリーニング / 光触媒 / 酸化チタン |
Research Abstract |
平成17年度の研究実績を項目別に以下に記す。 1.沈殿析出法を用いて、平均サイズ約3nmのAu粒子をTiO2微粒子上に高分散状態で担持した(Au/TiO2微粒子)。また、ガラス基板上にゾルゲルTiO_2薄膜(アナタース,膜厚=65±5nm)を形成し、析出沈殿法を用いて、この表面にAuナノ粒子を高分散状態で担持した(Au/TiO_2-TF)。Au/TiO2微粒子系およびAu/TiO_2-TF系におけるAuナノ粒子の平均サイズとサイズ分布を、それぞれ透過型電子顕微鏡(TEM)観察および走査型電子顕微鏡(SEM)観察により求めた。S_8分子を飽和吸着させたAu/TiO_2-TFのX-線光電子分光(XPS)スペクトルは、Auナノ粒子表面に選択的に吸着された硫黄が、原子状(S^<δ->-Au^<δ+>)および分子状(S_8)の2つの吸着様式を取ることを示した(S-Au/TiO_2-TF)。 2.S-Au/TiO_2-TF系における硫黄脱離反応用のテフロン製フローセルを作製した。 3.フローセルを用いてS-Au/TiO_2-TFに光照射したところ、Au/TiO_2微粒子系と同様に、Au粒子サイズは殆ど変化することなしに、その表面からの素早い硫黄脱離が進行した。XPS分析により、S-Au/TiO_2-TF系における硫黄の脱離率を光照射時間の関数として定量した。得られたデータを、昨年度中の研究において確立した速度論敵手法を用いて解析した結果、TiO_2薄膜担体系における脱離速度定数は、TiO_2微粒子担体系の値に比べて、約3.6倍大きいことが明らかになった。また、光照射時間にともなって、後者の閉鎖系では、硫黄脱離率が40-70%の範囲で飽和するのに対して、前者の解放系では、硫黄脱離が完結することも判明した。 以上の結果から、本光誘導硫黄脱離現象を硫黄で被毒されたAuナノ固定化触媒の低温クリーニング法に応用することが可能であることが実証された。
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Research Products
(2 results)