2005 Fiscal Year Annual Research Report
圧力を変数とした2成分ポリマーブレンドの動的不均一性に関する誘電的研究
Project/Area Number |
16550175
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浦川 理 大阪大学, 理学研究科, 助手 (70273539)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四方 俊幸 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (10178858)
|
Keywords | 高圧 / 誘電緩和 / 動的不均一 |
Research Abstract |
相溶性高分子ブレンドの分子運動における不均一性を支配する因子として、分子間距離が重要であるとの認識から、その距離を変化できる外部パラメータである圧力を利用することが本研究の目的である。今年度は、昨年度に構築した、圧力印加が可能な誘電緩和測定システムの改良および性能評価を中心に行った。 圧力媒体としてシリコンオイルとケロシンの2種類について調べた。シリコンオイルは粘性(100センチストークス)が高いため、印加できる圧力としては200MPaが上限となった。一方ケロシンでは、400MPaまで容易に圧力を上げることが可能であった。実際に圧力が試料にかかっているかを確かめる意味もあり、単純な1成分高分子系の測定から行った。試料として、主鎖に平行な双極子(A型双極子)成分を持った屈曲性高分子であるポリブチレンオキシドを選んだ。この高分子はA型双極子を持つために末端間ベクトルのゆらぎを誘電緩和(ノーマルモード緩和)として観察できる。実験の結果、ノーマルモードの緩和時間τ_nの圧力P依存性は、A,B,P_0を定数として持つlogτ_n=A+B/(P_0-P)の関数形に従うことがわかった。(この様な緩和時間の圧力依存性は既に良く知られている。)また、セグメント運動の緩和時間に関しても同様の関係が成立した。これらのことから、加えた圧力が試料に伝わっていること、および、圧力印加下でも正常に誘電緩和測定ができることがわかった。ただし、問題点として、高分子試料と圧力媒体の隔離が不完全であると、特にケロシンの場合に試料中に容易にケロシンが溶け込んでしまうことが判明した。その改善のため、これまで、テフロンの熱収縮チューブとテフロンテープにより電極中に試料を隔離して封じ込めていた部分を、厚み1mmのテフロン容器で完全に覆い、その中に試料と電極をセットするようにし、テフロン容器ごと圧縮する形とした。その結果、より良いデータが得られることがわかった。
|