2006 Fiscal Year Annual Research Report
低誘電率・低熱膨張・高透明性を併せ持つ耐熱ポリマーの開発と電子デバイスへの応用
Project/Area Number |
16550179
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
長谷川 匡俊 東邦大学, 理学部, 助教授 (40237988)
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Keywords | 脂環式ポリイミド / 無色透明ポリイミド / 低誘電率 / 低線熱膨張係 / 溶媒可溶性ポリイミド / 低吸水率ポリエステルイミド / 高透明性ポジ型感光性ポリイミド / 層間絶縁膜 |
Research Abstract |
1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)上に2つのメチル基を導入した1,3-ジメチルー1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(DMCBDA)をシトラコン酸無水物の光二量化より合成し、これと2,2'-bis(trifluoromethyl)benzidine(TFMB)を等モル重付加反応・キャスト製膜・熱イミド化工程を経由することで2,60以下の低誘電率、30ppm/K以下の低線熱膨張係数、300℃以上のガラス転移温度を同時に満足する新規な透明ポリイミドを開発した。このポリイミド前駆体はN, N-ジメチルアセチアミド等のアミド系溶媒に可溶であったが、これを一旦加熱脱水環化反応(イミド化反応)してポリイミドに変換するともはや有機溶媒に殆ど溶解しなくなった。またポリイミドの膜靭性もそれほど高くなかった。そこで本研究ではこのポリイミド系の溶液加工性および膜靭性を同時に改善するため、新規な屈曲性脂環式テトラカルボン酸二無水物および屈曲性芳香族ジアミンを共重合成分として用いて4元共重合体を合成した。もくろみどおり得られたポリイミドは様々な有機溶媒に高い溶解性を示した。そこでこのポリイミド前駆体の重合溶液に化学イミド化剤を投入後、室温で撹拌することでイミド化を完結させて均一なポリイミド溶液とし、これをキャスト製膜したところ、無色透明でしかも2,60以下の低誘電率、300℃以上のガラス転移温度に加え、25ppm/K以下の低線熱膨張係数も同時に達成した。従来の低熱膨張性ポリイミド系ではポリイミド前駆体をイミド化する過程で自発的に面内配向が誘発されることが知られていたが、本系のようにイミド化反応を経由することなく、単にキャスト製膜するだけで高度な面内配向が誘起され、その結果として低線熱膨張係数が発現されるという現象はこれまで報告されていない。このように本研究は上記のような優れた膜特性および溶液加工性を兼ね備えた従来にない新規な耐熱絶縁材料を提供するものであり、特に集積回路の層間絶縁膜等への適用が期待される。
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Research Products
(5 results)