2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノコンポジットゲルにおける有機/無機ネットワークの形成機構と機能性制御
Project/Area Number |
16550181
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Research Institution | Kawamura Institute of Chemical Research |
Principal Investigator |
原口 和敏 (財)川村理化学研究所, 材料化学研究室, 室長 (10373391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 仁華 (財)川村理化学研究所, 合成化学研究室, 室長 (20373392)
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Keywords | ゲル / ナノコンポジット / ナノコンポジットゲル / 有機 / 無機 / ネットワーク / 光透過率変化 / 温度応答性 / インシチュ重合 |
Research Abstract |
特異的な有機(ポリマー)/無機(クレイ)ネットワーク構造を有するナノコンポジット型ヒドロゲル(ナノコンポジットゲル:NCゲル)を合成し、その変形メカニズムの解明、クレイ濃度変化による広範囲な力学物性の制御、温度応答性の制御、光学物性(透明性、光学異方性)の解析、及び新たな機能性(表面滑り特性や生体適合性)の発現について研究し、以下の成果を得た。 (1)クレイ濃度(C_<clay>)を大きく変化させた均一・透明なNCゲルを得た。NCゲルの力学物性は極めて大きな範囲で変化させられ、ソフトなゴム状ゲルから硬いプラスチック様ゲルまでが含水率80〜90%で達成された。また、広範囲な強度、弾性率の制御を高破断伸び(1000%)を維持したままで行えた結果、延伸破壊エネルギーは同組成の有機架橋ゲルの3000倍以上に達することがわかった。 (2)高延伸に伴う永久歪量の時間依存性(緩和過程)およびそのC_<clay>依存性を明らかにすると共に、力学変形挙動を力学4要素モデルによって示した。 (3)C_<clay>変化により、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)鎖のコイル-グロビュール転移が大きく抑制・制御され、相転移を消失したNCゲルが得られた。相転移温度の抑制・消失はX線や示差熱測定などからも確認された。 (4)NCゲルの透明性がC_<clay>によらず高く維持されること、また高クレイ濃度NCゲル(>NC10)では、高含水状態で大きな光学異方性が発現することを見出した。 (5)NCゲル表面での特異的な表面滑り摩擦特性を明らかにした。特に、外部環境(湿潤、乾燥)、外部荷重、ゲル組成(ルイ濃度、含水率)によって摩擦挙動が大きく変化することを解明し、NCゲルの表面構造モデルを提唱した。 (6)NCゲルの一軸延伸による変形機構を中性子小角散乱(SANS)により明らかにした。特に、一軸延伸時に層状クレイナノ粒子が延伸軸に垂直配向することを示すアブノーマルパターンを観測した。 (7)NCゲルの医療材料に向けた評価研究で、生理食塩水や血漿の高吸収性、ウレタン薄膜コートによる乾燥制御、抗血栓性発現、オートクレーブ滅菌処理可能性などを明らかにした。 (8)その他、ポリエチレンイミンゲルを用いた機能性材料の構築を行えた。
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