2005 Fiscal Year Annual Research Report
光および電界・磁界による半導体ナノ構造中のスピン制御
Project/Area Number |
16560002
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 豊 山形大学, 工学部, 助教授 (00260456)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 量子計算 / 2次元電子ガス / スピン緩和 / スピン輸送 / 電子スピン制御 |
Research Abstract |
本研究では半導体ナノ構造中で量子計算機とスピンエレクトロニクス素子を実現する上で必須となる電子スピン制御を実現する方法を検討した。 昨年度の研究において電子-電子散乱とイオン化不純物散乱を含む輸送方程式を解いて2次元電子系の輸送係数(スピン依存移動度と拡散係数)を求めることが出来たが、本年度は輸送係数の温度依存性を求めるために輸送方程式に電子-フォノン散乱の寄与を含めた。2次元系に関してこれの数値解の計算がほぼ終了しつつあり、暫定的ではあるがスピン偏極電子系の輸送係数(移動度、拡散係数)における電子-電子散乱の寄与と不純物散乱とフォノン散乱との相対的寄与を定量的に見出すことが出来た。計算結果によれば電子-電子散乱は確かにスピン輸送に影響することが示され、電界によるドリフト輸送に比べると密度勾配のある系における拡散輸送において、特に電子-電子散乱からの寄与が顕著になる。温度の上昇とともに電子散乱の寄与は増加するが同時にフォノン散乱からの寄与も大きくなり、この2つの競合で温度上昇時の輸送係数が決まってくる。 この効果は上記のように密度勾配のある系で顕著であるが、これを実験では円偏光パルスによって励起されたスピン偏極キャリアー分布の時間変化を見ることで測定できると期待される。これを検証するために実空間モンテカルロシミュレーションを行った。現在のシミュレーションにおける散乱の取り扱いは近似的なもので定量的予測はまだ無理であるが、電子-不純物、フォノン散乱だけがある場合に比べ、電子-電子散乱がある場合にはキャリアー空間分布の時間変化に差があることが示された。 またスピン回転の実験への準備としてInGaAs/GaAs, GaAs/AlGaAs系の測定用サンプルを行ったが結晶の品質あるいは構造に問題があり、残念ながら測定を行えるサンプルは得られていない。また、実験方法としてマイクロ波を使わずにOptical Stark効果を使った方法が提案されており、これは今回準備しているサンプル構造でも検出可能かを検討した。
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Research Products
(3 results)