2004 Fiscal Year Annual Research Report
完全格子整合による弗化物超薄膜ヘテロ構造デバイスの研究
Project/Area Number |
16560003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
筒井 一生 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (60188589)
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Keywords | 弗化物 / CaF2 / CdF2 / MgF2 / 混晶 / 超薄膜 / 格子整合 / トンネル |
Research Abstract |
シリコン(Si)結晶基板上のCdF_2/CaF_2、およびこれらの混晶であるCa_xCd_<1-x>F_2による超薄膜ヘテロ系は、共鳴トンネルデバイスなどの量子効果デバイスをシリコンデバイスとモノリシック集積することを可能にする。しかし、このヘテロ系では、Si基板上に最初に成長するCaF_2のトンネル超薄膜にピンホール欠陥が発生し、デバイス特性の劣化を招く問題があった。本研究では、この原因がSiとCaF_2やCdF_2の格子不整にあるとの考えの基、新たな弗化物材料との混晶化により完全格子整合系で量子井戸構造を作ることでこれを解決することを目的としている。 初年度は、Siより格子定数の大きいCaF_2にII族イオン半径の小さいMgF_2を混ぜた混晶の成長を検討した。ここでは、CaF_2が蛍石型立方晶系、MgF_2がルチル形正方晶系という異なる結晶型での混晶がどのような成長をするかを明らかにすることがひとつの課題であった。 まず、分子線エピタキシー法で、MgF_2のみをSi基板上にエピタキシャル成長可能かどうか調べた結果、成長温度300〜500℃程度で、10nm程度の薄膜であれば(100)基板上でも(111)基板上でもエピタキシャル成長可能であること、およびそのエピタキシャル方位関係も明らかにした。 次に、実際にCa_xMg_<1-x>F_2混晶を成長し、組成xとエピタキシャル成長の結晶型、およびエピタキシャル成長を継続できる膜厚範囲などを系統的に調べた。その結果、MgF_2が0から90%程度まで(0.1<x<1.0)混入しても、10nm程度の薄膜層ではCaF_2と同じ蛍石型構造でエピタキシャル成長できることが確認できた。さらに、原子間力顕微鏡による観察で、MgF_2が10〜30%程度のSiと格子整合条件に近いと考えられる組成領域では成長表面の平坦性が最も高く、CaF_2薄膜に観測されるピンホール構造も抑制されていることがわかった。本研究の基本的着想を支持する実験結果が得られ、次年度は更に電気的特性評価と機構解明を進める。
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Research Products
(6 results)